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T!ps – 空調設備 –

公開日:2023年9月15日

フロン点検は義務です。業務用エアコンの所有者は今すぐチェック

業務用エアコンを所有しているオフィスや店舗には、簡易点検と定期点検が義務付けられています。適切な点検方法を知って、簡易点検と定期点検を確実に行いましょう。

 

この記事では、点検が必要な理由や点検内容を説明します。また、義務化のきっかけであるフロン排出抑制法の内容や、怠った場合の罰則なども紹介します。

でんきの窓口エアコン点検の画像

もくじ

1| エアコン点検について知っておくべき重要な情報とは?

業務用エアコンの点検を怠ると厳しい罰則が課せられること、ご存知でしたか?2015年に制定された「フロン排出抑制法」のもと、業務用エアコンを所有する店舗オーナーは、定期的な点検を行い、フロンガスの漏れがないか確認する義務があります。

 

また、2020年に施行された「改正フロン排出抑制法」により、業務用エアコンの点検を怠った場合のルール違反に対する罰則が強化されました。管理上のうっかり忘れが原因で、罰則だけでなく、企業のイメージダウンも避けられません。

2| 業務用エアコンを導入したら点検が必要な理由とは?

なぜ、業務用エアコンを導入すると、点検が必要となるのでしょうか?本章では、業務用エアコンの導入と点検の必要性について2つのトピックに分けて解説します。

2-1| フロンの管理義務とエアコンの所有者

「フロン排出抑制法」の法律の対象となるのは、以下の条件をすべて満たす機器(第一種特定製品)です。

 

  • エアコンまたは冷凍冷蔵機器
  • 業務用として製造・販売された電機機器
  • 冷媒としてフロンガスが充填された電機機器

 

具体的には、店舗やオフィス用のエアコン、設備・工場用エアコン、業務用マルチエアコン、ターボ冷凍機、製氷機、自動販売機、ショーケースなどが該当します。しかし、家庭用エアコンや自動車のエアコンは対象外です。

 

法律の規制を受ける対象者には、機器を購入して自分の事業所に設置した人だけでなく、リースでの利用者やビル所有者も含まれます。

2-2| 点検の必要性と義務について

フロン排出抑制法に基づき、業務用エアコンを所有する店舗オーナーは、定期的な点検を行う義務があります。具体的には、以下の2つの点検が必要です。

 

  • 簡易点検:3か月ごとに行う点検。エアコンの外部からフロンの漏れがないか確認する。
  • 定期点検:1~3年ごとに行う点検。エアコンの内部をチェックし、詳細な点検を行う。

3| フロンとは何か?エアコンにおける重要な冷媒の役割とは?

店舗オーナーの方の中には、「フロン」という言葉に馴染みのない方もいるでしょう。

 

フロンは、エアコンや冷蔵庫、カーエアコンなどの冷却機器で使われる冷媒という化学物質です。20世紀初頭にアメリカでフロンが開発されました。フロンは無色・無臭、燃えにくく、金属の腐食を防ぐといった優れた性質を持っていると話題になりました。しかし、現在ではオゾン層を破壊する物質として、その使用が問題視されています。

3-1| エアコンにおけるフロンの役割と重要性

エアコンは暑い夏に快適な温度を提供するために、ビジネスに欠かせない存在ですが、エアコンが冷気を提供するためには、フロンの役割が不可欠です。フロンはエアコン内部で気体から液体へと変化し、その後再び気体へと戻ることで、熱を移動させる能力があります。この熱の移動プロセスが、エアコンが部屋を冷やす仕組みです。

4| フロン排出抑制法とは?業務用エアコン所有者が知っておくべき罰則と報告義務

本章では、業務用エアコン所有者が知っておくべきフロン排出抑制法の概要や罰則、報告義務について解説します。

4-1| フロン排出抑制法の概要と目的

業務用エアコンなどの冷凍・冷蔵機器には、フロンガスが使用されていることが一般的です。フロンは地球温暖化に大きな影響を与えるガスであるため、フロンの排出を抑制するために2015年に「フロン排出抑制法」が制定されました。

 

フロン排出抑制法には、エアコンや冷蔵機器を設置する業者に対するいくつかの規制が含まれています。その中でも特に重要なのは、定期的な点検と修理の義務付けです。

 

業務用エアコンをはじめ一定規模以上の空調を設置する場合、定期的に点検を行ってフロンが漏れ出していないか確認し、必要なら修理を行うことが義務付けられています。

4-2| 業務用エアコン所有者の罰則と報告義務

フロン排出抑制法に違反した場合、以下の罰則が適用されます。

 

  • フロンをみだりに放出した場合:1年以下の懲役もしくは50万円以下の罰金
  • 行政からの指導・勧告・命令を無視した場合:50万円以下の罰金
  • 検査拒否や虚偽報告をした場合:20万円以下の罰金
  • 虚偽の算定漏えい量を報告した場合:10万円以下の罰金

 

業務用エアコンの使用時、フロンの漏えい量が年間「1,000CO2-ton」以上となる事業者は、所管の大臣に報告する義務があります。この報告を怠る、もしくは虚偽の報告をした場合、10万円以下の過料が科せられることとなります。

5| 機器の点検内容:簡易点検と定期点検の違いと重要性

本章では、フロン排出抑制法に基づく機器の点検内容に焦点を当て、簡易点検と定期点検の違いや、その重要性について説明します。

5-1| 簡易点検の目的と内容

業務用エアコンにおける簡易点検の目的は、フロンガスの漏れを早期に発見し、環境への影響を最小限に抑えることです。また、点検を通じてエアコンの性能を維持し、快適な室内環境を保つことも重要な目的です。

 

簡易点検では、3か月に1回以上、エアコンの外観を確認します。具体的には、外観に傷や摩耗・腐食・劣化がないかを見ます。また、油が漏れていないかも確認します。安全な場所であれば、誰が点検を行っても問題ありません。

 

エアコンには室内機と室外機がありますが、簡易点検では主に室外機の外観をチェックします。機器の構造によって、チェックする部分が異なる場合もあります。

5-2| 定期点検の目的と内容

フロン排出抑制法に基づく定期点検は、オゾン層の破壊を防ぎ、地球温暖化の影響を抑制するために実施されます。

 

定期点検は、エアコンの圧縮機に使用される電動機の出力によって異なる頻度で行われます。定格出力が7.5kW以上50kW未満の機器は3年に1回以上、50kW以上の機器は1年に1回以上点検が必要です。

 

定期点検は、第2種冷媒フロン類取扱技術者という資格を持った専門家だけが実施できます。通常は、専門業者に依頼することが一般的です。

 

点検の方法は「直接法」と「間接法」の2つがあります。直接法は、フロンが漏れているかを直接確認する方法です。例えば、発泡液を塗布してフロンの吹き出しを検知したり、漏れ検知器を使って調べたりします。

 

これに対して、間接法は、機器の運転値をチェックシートと照らし合わせ、フロンの漏れがないかを確認する方法です。日本冷凍空調設備工業連合会の点検・修理ガイドラインなどが使われます。

 

依頼した専門業者は、これらの方法を一つだけ使うか、あるいは両方を組み合わせて点検を行います。

6| 自分でできる簡易点検と専門家に依頼する点検の選択肢

簡易点検は、必ず専門家に依頼しなければならないというわけではなく、ご自身で行うことも可能です。本章では、簡易点検について、自分で行う場合と専門家に依頼する場合を比較して解説します。

6-1| 自己点検の手順と注意点

自分で簡易点検を行う場合、一般的に以下のような手順でチェックを進めます。

室外機点検 異音、異常振動がないか
油にじみ、傷、腐食、錆がないか
ごみの付着、植物の絡まり、配管の劣化はないか
室内機点検 配管や熱交換器に霜がついていないか

簡易点検に関しては誰でも実施できるよう、チェック項目やフォーマットが含まれたガイドブックが提供されていますので、活用するとよいでしょう。

 

参考:一般社団法人日本冷凍空調設備工業連合会「簡易点検の手引き」

6-2| 専門家に依頼する利点と信頼性

次に、簡易点検を総合メンテナンス会社を始めとした専門家に依頼する際の利点や、総合メンテナンス会社の対応範囲などを解説します。

6-2-1| 総合メンテナンス会社の利点

総合メンテナンス会社とは、施設管理・清掃・警備・省エネ・環境対策・建築工事に至るまで、施設環境に関する全般的なサービスを提供している会社です。

 

総合メンテナンス会社にはエアコン設備の専門家が所属しており、点検を行う際には、その専門的知識と技術を有するスタッフが対応します。総合メンテナンス会社に点検を依頼すれば、自社で使っている業務用エアコンの潜在的な課題を速やかに特定し、適切な対策を提言してくれるでしょう。ただ単にエアコンをメンテナンスするだけでなく、洗浄や更新なども依頼できます。

 

また、総合メンテナンス会社は、点検結果をきちんと記録して保管してくれるため、点検履歴を一元的に管理でき法的な要求に応じて点検の履歴を提供できるのもメリットです。

6-2-2| 総合メンテナンス会社のサービス範囲と特徴

総合メンテナンス会社に簡易点検を依頼することで、エアコンのフィルターだけでなく、換気扇や空調設備のクリーニング、エアコンの分解洗浄などのサービスを提供してもらえます。

 

会社によっては、以下のようなサービスの提供を行っているところもあります。

サービス範囲 解説
建築設備 建築基準法により義務付けられている頻度・方法で、エレベーターや自動ドア、シャッター、機械式駐車場などの建築設備の点検・修理を行ってくれる。
電気設備 電気事業法により義務付けられている頻度・方法で、ビルや工場、商業施設などに設置されている高圧受変電設備の点検・修理を行ってくれる。
消防設備 消防法により義務付けられている頻度・方法で、消火器や自動火災報知設備、スプリンクラー、避難はしごなどの設備の点検・修理を行ってくれる。
給排水・衛生設備 給水管・排水管、貯水槽・浄化槽、ポンプといった給排水・衛生設備の点検のほか、配管やグリストラップなどの清掃も行ってくれる。

6-2-3| エアコンの総合メンテナンスのメリットと依頼の方法

エアコンの総合メンテナンスを行うと、エアコンの性能を最適な状態に保って、安全に使用できます。フロン排出抑制法に基づく点検義務を果たせるだけでなく、エアコンの効率もアップし、電力の消費を節約できる可能性が高まります。

 

総合メンテナンス会社に依頼する方法・手順は、以下の通りですので、参考にしてください。

  1. メンテナンス会社を選ぶ
  2. 見積もりを取る
  3. 契約をする
  4. 定期的なメンテナンスを実施してもらう

7| フロン点検を実施する計画を立てる方法と注意点

本章では、フロン点検(エアコンの定期点検)の実施前に必要な準備と確認すべきポイント、フロン回収と廃棄の方法を解説します。

7-1| 点検実施前の準備と確認すべきポイント

業務用エアコンを所有する店舗オーナーにとって、フロン点検は避けては通れない義務です。定期点検を効果的に行うための計画の立て方・手順は、一般的に以下の通りです。

1.点検の周期を確認する エアコンの規模や機種によって点検の周期は異なる。
圧縮機の出力が7.5kW以上50kW未満の場合は3年に1回、50kW以上の場合は1年に1回以上の点検が必要。
2.適切な時期を選定する 通常、エアコンの利用が少ない春または秋の時期に点検を行うと効果的。
夏や冬の繁忙期には、店舗の営業に支障が出るため避けるのが一般的。
3.点検業者を選ぶ 点検業者は、第2種冷媒フロン類取扱技術者の有資格者である必要。
信頼できる業者を選び、見積もりをとってコストを把握しておく。
4.店舗の営業日程と調整する 点検日を決定する際は、店舗の営業日程との調整が必要。
点検の時間を最小限に抑えるため、事前に作業範囲や必要な設備を確認しておくと効率的。

点検後には、点検記録の保管が義務付けられているので、点検業者から受け取った書類をきちんと保管する必要があります。また、フロン排出抑制法のような法令は改正されることがあるため、常に最新の法令をチェックし、その基準に沿った適切な点検を行うよう心がけましょう。

7-2| 業務用エアコンのフロン回収と廃棄の方法と手続き

業務用エアコンを撤去する際は、事前に機器と配管の中を流れるフロンガスを抜いて回収します。

 

フロンガスの回収・廃棄の方法・手順は、一般的に以下の通りです。

1.専門業者に依頼 フロンガスの回収は専門的な知識と技術が必要。
第2種冷媒フロン類取扱技術者の有資格者に依頼する。
2.回収装置を使用 回収装置をエアコンのサービスポートに接続し、フロンガスを専用の容器に移送する。
これによりガスの漏れを防ぐことが可能。
3.回収したフロンガスの確認 回収されたフロンガスの量や種類を記録し、業者から回収証明書を受け取る。
4.回収証明書の提出 廃棄業者に対し、フロンガスの回収証明書を提出する。
これにより適切な処理が行われることが確認される。
5.エアコン機器の廃棄 フロンガスを回収した後、エアコン機器自体も適切に廃棄しなければならない。
廃棄業者に依頼し、廃棄証明書を受け取る。

8| 業務用エアコンの定期点検の頻度とタイミングの決め方

ここでは、業務用エアコンの定期点検の頻度とタイミングを決める際に役立つ情報を提供します。

8-1| 定期点検の適切な頻度と決め方のポイント

業務用エアコンの定期点検は、フロン排出抑制法に基づく義務を果たすだけでなく、設備の寿命を延ばし、効率的な運転を保つためにも欠かせません。

 

そのため、クリーニングも兼ねて1〜2年に1回程度の定期点検が推奨されます。とはいえ、さまざまな要因により、定期点検の適切な頻度は変わります。

 

以下に、適切な点検頻度を決める際のポイントをまとめました。

決め方のポイント 説明
エアコンの種類と規模 大型のエアコンの場合、より頻繁な点検が推奨される。
設置環境 外気の汚れが多い場所や高温多湿の場所で運転させる場合、点検の頻度を高く設定する必要がある。
運用時間 長時間連続運転や高負荷状態の運用をする場合、点検の頻度を増やす必要がある。
使用頻度 高負荷状態で頻繁に使用される場合も、点検の頻度を増やす必要がある。

8-2| 季節や使用状況に応じた点検のタイミング

業務用エアコンの定期点検のタイミングを決める際は、季節や使用状況も意識するとよいでしょう。

 

定期点検の時期は、一般的にエアコンの使用が少ない4〜6月あるいは9〜11月に実施するケースが多いです。

9| エアコン点検における留意すべき安全対策と注意事項

最後に、業務用エアコンを点検する際に留意すべき安全対策と注意事項を順番に解説します。

9-1| 点検時の安全対策と予防措置

エアコンの室外機や排気ダクトの点検作業には、以下のようなさまざまな危険が潜んでいます。

 

  • 高所作業による落下のリスク
  • 電気配線や機器からの感電のリスク
  • フロンガスの吸入による中毒リスク
  • 機器の振動や音による耳の損傷や骨折リスク

 

これらのリスクを防ぐためには、以下の対策が必要です。

 

  • 適切な作業服や安全装置の着用
  • 安全作業のマニュアル・ガイドラインに従うこと
  • 作業前に安全データシートを読み、使用する冷媒についての知識を得ること

 

フロンガスについては、適切な知識と経験が必要です。誤った取り扱いにより有毒ガスが発生し、中毒を引き起こすことがあるからです。点検作業を行う前に、安全対策を確認し、周知徹底を心がけましょう。

9-2| 点検作業中の注意事項とトラブル回避法

点検作業中、特に高所に位置する室外機や排気ダクトの点検は注意が必要です。落下や転落のリスクがあるため、安全対策を怠らないようにしましょう。

 

高所作業には、フルハーネス型の安全帯が必須です。これは、転落事故を防ぐための装置で、体にしっかりと固定することで安全に作業ができます。

 

さらに、室外機へのアクセスがタラップ(固定はしご)を使う場合や、軒先を移動する必要がある場合は、移動時の安全も重要です。場合によっては、足場を設置したり、作業リフトや作業台を利用したりすることもおすすめします。

 

安全第一で、しっかりとした対策をとりましょう。

10| 業務用エアコンの健全な運営のためにフロン点検を正しく理解しよう!

業務用エアコンを所有しているオフィスや店舗には、簡易点検と定期点検が義務付けられています。簡易点検は自分で行うことも可能ですが、頻度が高く手間がかかるため、定期点検と併せて専門家に依頼するのも一つの手です。

 

総合メンテナンス会社であれば、エアコンの点検・洗浄・交換など全般的なメンテナンスに対応しています。業務用エアコンの導入にあたって点検について考えたら、まずは総合メンテナンス会社に相談することをおすすめします。

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