LED照明の寿命は本当に10年?早くも暗くなった原因とその対策!
「LED照明は寿命が10年」とよく聞きますが、実は使用方法や使用環境によっては、早く寿命を迎えてしまうことがあります。この記事では、一般的に他の照明よりも長寿命と言われているLED照明の構造や寿命の判断方法について詳しく解説しています。ポイントを押さえて、LEDの特徴を生かした照明環境を実現しましょう。
1. LED照明の寿命とは
LED照明の寿命の定義は、点灯しなくなった時点ではありません。LEDの規格であるJIS-C 8105-3附属書では、LED(モジュール)の寿命は、点灯初期の70%の光量になった時点を寿命と定めています。モジュールというのはLEDが発行する部分の最小単位です。LED照明はモジュールの集合体とイメージしてください。
LED照明の寿命は一般的に40,000時間といわれています。1日8時間点灯した場合、計算上では約13年で寿命となります。蛍光灯の寿命は6千〜1万2千時間、白熱電球は1千〜2千時間であるため、極めて長寿命であるといえるでしょう。
長寿命である理由は、その発光構造にあります。白熱電球や蛍光灯とは構造と効率が違うため、寿命が長いのです。しかし、周囲の環境によって寿命は短くなります。LED照明の寿命を伸ばしたい場合は、LED照明に適切な環境をつくることが重要です。
1-1. LED照明が「長寿命」言われる理由
LEDランプは、白熱電球や蛍光灯と比較して長寿命です。また、それらに比べ、省エネである傾向があります。寿命が長く省エネである理由は、構造上の特性が大きく影響しています。下記から詳しく確認してみましょう。
1-1-1. フィラメントがないから
LEDランプと白熱電球、蛍光灯との大きな構造の違いは、フィラメントの有無です。フィラメントは使用すると徐々に細くなっていく性質があり、最終的には切れてしまうため、突然点灯しなくなります。
LEDは電圧を利用して発光するため、寿命のあるフィラメントを使ったランプよりも長寿命です。
一方、白熱電球は、フィラメントを発光に利用しています。抵抗が高く燃えにくいタングステンを材質とするフィラメントに電流を流し、高熱を発生させて光にしています。
蛍光灯にも、フィラメントが使われています。加熱されたフィラメントから放出された電子が紫外線となり、蛍光物質に照射することで光を作り出しています。
発光メカニズムの違いが、寿命の差を作り出しているのです。
1-1-2. エネルギー効率が良いから
LEDは、電圧を光に変換する効率が白熱電球や蛍光灯よりも優れています。
半導体を使った光への変換は、フィラメントによる変換よりも、圧倒的に高効率です。電気を熱に変換する変換効率は、白熱電球が10%、蛍光灯が20%であるのに対し、LEDは30〜50%程度であり、省エネであることがわかります。
また、高効率であるために熱や紫外線の発生が抑えられることから、構造物の劣化が少なくなり、結果的に寿命が長くなります。LED照明のエネルギー効率の良さは、寿命の長さにも寄与しているのです。
2. LED照明が10年になる前に寿命になる理由
LEDランプとLED照明器具は構造が違うため、寿命は異なります。LEDランプの寿命は4万時間とされていますが、LEDの照明器具の寿命は、使用する環境によって劣化速度が変化します。LEDのランプよりも、LED照明器具の劣化が早いことが多いです。
【用語解説】
LEDの説明に出てくる主な用語を理解して、構造の理解を深めましょう。
用語 | 説明 |
---|---|
LEDランプ | 白熱電灯や蛍光灯にそのまま置き換え可能な構造を持ったものです。口金、本体、LEDモジュール、拡散カバーを合わせてLEDランプと呼んでいます。 |
LED照明器具 | 照明外装とLED光源がパッケージ化されており、交換の際はまるごと取り替えることを前提としたものです。 |
LEDモジュール | LEDランプの中にあるLEDを含む電子回路です。口金から供給された電力をLEDモジュール部分で発光させ、拡散カバーで光を放射させています。 |
2-1. LEDモジュールは長寿だが、LED照明器具の寿命はもっと短い
LEDモジュールは、劣化が少なく長寿命ですが、LED照明器具の寿命はLEDランプよりも短いことが一般的です。
というのも電気用品安全法によると、LED照明器具の内部にある電気絶縁材料の性能限界は4万時間で、3万時間から劣化による故障が始まるとされています。
よって、LED照明器具内部の劣化が早いため、4万時間で寿命とされるLEDモジュールよりも、寿命が短いとされています。
2-2. LEDランプの寿命が短くなる原因
寿命が長いといわれているLEDランプですが、使用環境によっては寿命が短くなってしまいます。そのため、LEDランプの使用に適さない環境では、対策を講じる必要があります。寿命を縮める要因を確認していきましょう。
2-2-1. LEDランプは熱に弱い
LEDランプは、熱に弱いです。LEDランプの光には熱を感じませんが、内部の電子部品は発光時に高温になっています。80℃を超える高温状態は、ランプ内部の断線や、固定された電子部品の剥がれにつながるため、放熱のためのヒートシンクを設置して温度を下げています。
密閉されたLED照明器具にLEDランプを設置する際には、とくに注意が必要です。浴室などに設置された照明機器は密閉されているため、対策されていないLEDランプを使用すると放熱できません。放熱できないと内部温度が上がり、寿命が短くなったり、故障したりすることにもつながります。熱がこもりにくい密閉型器具専用LEDなど、放熱対策されたLEDランプを使いましょう。
2-2-2. LEDランプは静電気に弱い
LEDランプは、静電気に弱い特徴があります。そのため、大きな電流や高い逆電圧が一瞬でも流れると、壊れる恐れがあります。電気機器によっては、静電気対策を施した基板が採用されていますが、LED照明への搭載は多くありません。可能な限り、静電気が発生しないように注意しましょう。
2-2-3. LEDランプは湿気に弱い
LEDランプの内部は電子部品で満たされているため、湿気に弱い特性があります。水分は電子部品をショートさせることがあります。とくに、多湿による結露は危険です。
温度が極端に変化しない浴室などの場合、密閉型器具専用LEDを使うことで、結露対策が可能です。しかし、屋外は気温差が大きいため、密閉されたケース内で結露が発生し、ショートや漏電が発生する恐れがあります。
防水性に優れた屋外用LED照明もあるので、屋内用と屋外用を区別して使い分けましょう。
2-2-4. 照明器具との相性が悪い
照明器具との相性が悪いために、LEDランプの寿命が縮むこともあります。たとえば、照明器具には調光機能が備わっているものの、LEDランプがそれに対応していない場合などが挙げられます。また、LEDランプ側に、照明器具について制限がある場合もあります。
照明器具やLEDランプには使用条件や仕様が記載されているため、適切な組み合わせかどうかをよく確認しましょう。
3. LED照明の寿命の見極め方
LED照明は、寿命を迎えてもすぐに切れないため、寿命を見極めにくいです。場合によっては漏電の可能性もあり危険なため、適切な時期に交換が必要です。寿命の見極め方と、適切な交換タイミングを解説します。
3-1. 照明の明るさが以前よりも暗く感じる
LED照明は、内部部品に電圧をかけて光に変換しています。LED点灯初期の70%の光量なった時点を寿命としていますが、内部の蛍光体、樹脂などの劣化によっても光量が減少します。ただし、LED照明はフィラメントを利用していないため、突然点灯しなくなることはありません。
3-2. 点灯までに時間がかかるもしくは点滅することがある
内部部品の劣化が進むと、電力を供給できなくなります。電力がなければ、LED照明は切れてしまいます。つまり、LED照明が点灯しなくなる主な原因は、LED照明の寿命というよりも、内部部品の故障であるといっていいでしょう。
3-3. LEDランプが急に点灯しなくなる
内部部品の劣化が進むと、電力を供給できなくなります。電力がなければ、LED照明は切れてしまいます。つまり、LED照明が点灯しなくなる主な原因は、LED照明の寿命というよりも、内部部品の故障であるといっていいでしょう。
3-4. LED照明を速やかに交換する必要があるサイン
「焦げ臭い」「カバーの変色・変形」といった現象があると、熱を逃がせていないことや、漏電の可能性などが考えられます。
上記のようなサインを発見した場合には、速やかにLED照明を交換することをおすすめします。
4. LED照明を長持ちさせる使い方
ここでは、LED照明の長寿命な性質を生かすため、長持ちさせる使い方やポイントを解説します。照明は作業効率、身体への影響、管理コストに影響することなので、しっかり押さえてみてください。
4-1. こまめに照明をON・OFFする
LED照明を長持ちさせるためには、照明のON・OFFをこまめにするように心がけてください。蛍光灯が主流のころはつけたり消したりすることで寿命が縮むと聞いたことがあるかもしれません。実はLEDランプはON・OFFに強く、こまめにOFFにすることで、LEDチップや基板が熱を持つ時間を短くできます。その結果として劣化スピードも遅くさせることができます。
消費電力が低いLEDとはいっても、不使用時には短い時間でも必ず消すことで節電や省エネにもつながります
4-2. 環境に適したLED照明を使う
LED照明と相性の悪い環境は、熱や湿気が高い環境です。LED照明は本当に長寿命ですが、環境に左右されます。高温多湿な環境やオイルミストが浮遊する環境でも劣化が早まりますので、長く使い続けるためには特殊環境用のLEDを使いましょう。
4-3. 照明器具に適したLEDランプを使う
LED照明は、照明器具外装とLEDランプで構成されています。蛍光灯の照明器具外装を利用してLEDランプのみ交換した場合や、デザイン性のある照明器具と取り付けるLEDランプを別々で準備する場合は注意してください。
また、取り付ける照明器具外装がLEDランプのスペック以上の用途や環境で使用するタイプだった場合、LEDが熱を帯びやすくなり早く傷んでしまいます。取り付けるときに注意すべき照明器具は以下の通りです。
・調光機能つきの照明器具
・センサーつきの照明器具
・密閉型の照明器具
・筒状の形状照明器具
それぞれ、「調光器対応LED」「密閉器具対応」という表記を目印に、専用のLEDランプを使用しましょう。筒状の形状のスポットライトなども熱が逃げにくいので、「密閉器具対応」のLED電球を使用しましょう。
4-4. 適度にメンテナンスを行う
以下の表では、部品や設置個所に合わせて適切なお手入れ方法を一部ご紹介します。器具を傷めないためにも、水分を染みこませた布は必ず固く絞ってから使用してください。また、掃除をする際は、電源を切り、感電防止対策もしっかり行ってください。
4-4-1. 自分でできる掃除・点検
以下の表では、部品や設置個所に合わせて適切なお手入れ方法を一部ご紹介します。器具を傷めないためにも、水分を染みこませた布は必ず固く絞ってから使用してください。また、掃除をする際は、電源を切り、感電防止対策もしっかり行ってください。
部品・設置個所 | 道具 | 掃除方法 |
---|---|---|
照明(ランプ部分) | ● 柔らかい布 ● 中性洗剤 |
1. 薄めた中性洗剤を作る 2. 布につけて固く絞る 3. 口金以外を拭く |
金属・プラスチック | ● 柔らかい布 ● 中性洗剤 |
1. 薄めた中性洗剤を作る 2. 布につけて固く絞る 3. 汚れが気になるところを拭く 4. 洗剤が残らないよう水で拭き上げる |
ガラス | ● ゴム手袋 | 1. ゴム手袋を装着する 2. 器具から外せれば外す 3. 水で洗い流す 4. 乾かして元に戻す |
メッキ | ● 柔らかい布(濡れ拭き用と乾拭き用) | 1. 柔らかい布で拭き上げる 2. 汚れが気になるなら濡れ拭きする 3. 乾拭きをして仕上げる |
木・竹・和紙など | ● 柔らかいブラシ・ハケ ● 柔らかい布 |
1. ブラシ・ハケでほこりをはらう 2. 布でやさしく拭く |
このような掃除をしながら、照明器具や電線類などに異常がないか等も確認しましょう。詳細は次の章で説明します。
4-4-2. 確実な点検・メンテナンスは専門業者に依頼する
定期的にお掃除や点検を行っていると、LEDの点灯について異変に気付くことが多くなっています。次のような場合は、正常にLED照明が点灯しているように見えても異常が起きている可能性があるため、電気の専門業者に点検してもらい、メンテナンスを依頼しましょう。
- 照明器具に焦げたにおいや発火の後、油漏れが見られる
- 電線類の変形や変色、ひび割れなどがある
- 配線部品の変形や変色、ガタつき、ひび割れや破損などがある
- 累積点灯時間が40,000時間以上である
- 使用期間が10年以上である
さらに、特殊な場所や形でお手入れがしにくいものや、高所などメンテナンスするには難易度が高いものは、挑戦せずに敢えて専門業者に依頼することも大切です。
電気工事業者は電気のみならずそれを取り巻く配線や環境の異変にも詳しいので、メンテナンス中に気づいたことのアドバイスや、皆さんが普段気になっていることの相談に乗ってくれる場合があります。
5. LED照明を交換するタイミングに考えること
ここまで説明してきたように、LED照明は一般的に長寿命といわれています。1日8時間点灯すると、計算上では10年以上も寿命があることになります。異常が無い限りは使い続けたいところですが、点灯が正常でも、内部部品は劣化し続けているため、メンテナンスや交換は10年程度で実施されることをおすすめします。そこで、LED照明の交換タイミングが近づいてきた頃に検討しておくと良いポイントをお伝えします。
5-1. LEDランプは自分で交換できる?
照明器具を自分で交換できる種類は以下のように決まっています。
・天井に引掛シーリングがある
・簡易型ダクトレールが使われている
使用環境によっては自分で取付できないものもありますので、その際は専門業者に交換を依頼しましょう。
5-2. コストの考え方
寿命が早めに来てしまうと、元を取りたくて少し節約をしたいと考えてしまいます。LEDのランプだけ交換、自分たちで掃除をしてメンテナンス。管理費としては少し節約できそうですね。
しかし、ここで節約しているのは一時的な管理費のコスト。コア業務外で人手と手間と時間にもコストはかかってしまいます。そこで、LED照明の管理はプロの電気業者に依頼することで解決に導けます。LED照明のメンテナンスを始め、器具交換、不具合時の緊急対応等を任せると、既存LEDの寿命を謳歌できる可能性が高まり、掃除やメンテナンスにかける時間や手間を省けます。また将来、レイアウトの変更などによって照明の位置変更、電気配線の変更が生じた場合も照明の詳細が分かっている電気業者であると、すぐ相談が可能なので、かかりつけ電気業者を作ることはとてもお勧めです。
5-3. LED照明の選び方
現在のLED照明の環境は快適ですか?LEDはどんどん進化しており、「明るさ」「演色性」や「光の色味(色温度)」が増えてきました。また軽量化、小型化が進み、様々な使用場所でおしゃれなLED照明を楽しむことができます。
種類が増えた分、交換する時に押さえておかなければ、照明器具とLEDランプのサイズが合わずに取り付けられない、もしくは前述のように寿命が短くなってしまう可能性があります。LED照明を選ぶときは、下記に挙げた指標を参考にして、理想の照明環境を実現してください。
選ぶポイント | 説明 |
---|---|
口金のサイズ | 口金は電球根元の金属の取付部のことです。今まで使っていた照明器具の電球(一般電球、ボール電球、小形電球、ミニクリプトン電球など)と、同じ口金を選びます。 (例:E26、E17) |
明るさ・光の量 (ルーメン:㏐) |
今まで使っていた照明器具の電球(一般電球やボール電球、小形電球、ミニクリプトン電球など)と、ほぼ同じ明るさが得られる全光束=光の量「ルーメン(lm)」を選びます。 |
光の広がり方 (光の向き) |
タイプによって、光の向きが違います。全方向が明るいタイプは白熱電球に近い光の広がり方をします。広さがない部屋や廊下は、ダウンライトやスポットライトのように下方向が明るいタイプがおすすめです。 |
光の色(色温度) | 現在色は主に4種類あり、温かい感じを演出したい場合は「電球色」「温白色」を、爽やかな感じを演出したい場合は「昼光色」「昼白色」をお選びください。(メーカーによっては多様に用意されている場合もあります) |
6. まとめ
LED照明の寿命やウィークポイント、寿命の見極め方などを解説してきました。LED照明は、一般的に長寿命といわれています。しかし、実際には、使用環境や、LED照明器具との組み合わせが大きく影響します。また、LEDの特性に適さない環境に置かれた場合は、寿命が縮む可能性があるため、「説明書に記載された期間は必ず使用できる」とも限りません。
また、取り扱いや認識が誤っていた場合、メリットを得られない場合があります。LED照明や照明器具の仕様を守り、適切な環境で使用し、定期的にメンテナンスをすることで、寿命を最大限維持できることを覚えておきましょう。
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