水銀灯からLEDへの交換方法とは?省エネとコスト削減につながる商業施設運営者必須情報
公開日:2024年1月30日
近年の電気代高騰や政府のLED化計画に駆られて、建物内の照明は既にLED化を完了されている企業様もいらっしゃるかもしれませんが、今回は特にLED化が忘れられがちな駐車場や倉庫、高所の水銀灯をに関して解説します。水銀灯は規制値以上の水銀を使った製品は2020年以降に製造や輸出入が禁止されることになりました。これを受け、今回は水銀灯をLED化することのリスクやメリット、省エネとコスト削減をご紹介します。
1| 水銀灯の生産終了とLEDへの切り替えの必要性
水銀灯の生産終了は、照明産業における重要な転換点となりました。一方で、環境への影響とエネルギー効率の観点から、LED照明への移行が急務とされています。ここでは、水銀灯の生産終了の背景とその影響、そしてLEDへの切り替えによって期待される省エネとコスト削減の効果について詳しく掘り下げていきます。
1-1| 水銀灯の生産終了背景と影響
水銀灯の生産終了は、環境保護と人々の健康に対する国際的な配慮が大きな要因です。具体的には、「水俣条約」の採択により、水銀の使用を制限する国際法が成立しました。この条約は、水銀による環境汚染の防止を目的としており、水銀を使用した製品の製造や輸出入が制限されることになりました。これに伴い、2020年に日本国内でも水銀ランプの製造が終了し、LED照明への切り替えが進んでいます。
水銀灯はかつて広範囲で照らす必要がある場所で長寿命であるという理由から、工場、スポーツ施設の高天井用照明器具や、投光器、街路灯、道路照明器具など多くの場所で使用されていました。これらの場所では、水銀灯に代わる新たな照明として、安全でさらに寿命の長いLED照明が推奨されています。水銀灯のメリットはLEDにも引き継がれ、更に点灯までに時間がかかったり、虫が集まってきたり、消費電力が高いといった水銀灯のデメリットもLEDはカバーします。
このように、水銀灯を生産し続けることは、採掘、製造、廃棄の段階によって環境汚染や人体への影響が懸念されるため、国際的な規制・禁止の対象となりました。LED照明への切り替えは一般的に言われている消費電力の削減やランニングコストの削減といった経済的な利点とともに、環境保護にも貢献していることから、LED照明器具へのリニューアルが推進されています。
1-2| LEDへの交換がもたらす省エネと節約効果
項目 | 水銀灯 | LED |
---|---|---|
イメージ | ||
平均寿命 | 約3,000〜12,000時間 | 約40,000時間 |
消費電力 | 400W | 100W(水銀灯の約25%) |
節電効果 | – | 水銀灯比75%以上の節電が可能 |
点灯までの時間 | 明るさが最大になるまで時間が必要 | スイッチONで瞬時に最大明るさに |
再点灯の迅速性 | 消灯後、冷却時間が必要 | 消灯後すぐに再点灯可能 |
電気代の削減 | – | 水銀灯の約30%〜40% |
長期的なコスト削減 | 初期コストは低いが長期的に高額 | 初期コストは高いが長期的に低額 |
水銀灯からLEDに交換すると、多くの省エネとコスト削減のメリットがあります。LEDの消費電力は水銀灯の約30%〜40%で、電気代の削減が可能です。具体的な比較では、水銀灯400WをLEDに交換すると、75%以上の節電が期待できます。例えば、一般的なLED(100W)は水銀灯(400W)の消費電力の25%に相当し、これによって大幅な電力消費の削減が実現します。
さらに、LEDの寿命は水銀灯の約4〜10倍に相当し、平均40,000時間程度とされています。これにより電球の買い替えコストや交換の手間が削減されます。また、LEDはスイッチを入れると瞬時に点灯し、消灯後の再点灯も迅速に行えるため、作業効率の向上にも寄与します。
経済的な観点からは、長期的なコスト削減が見込めます。初期投資は必要ですが、3年を超える使用期間では、LEDの低い電気代が水銀灯の高いトータルコストを上回り、経済的なメリットが顕著になります。LEDに替えた初月の電気代の安さに感動を覚えるかもしれません。
2| 商業施設における照明の重要性とLED化のメリット
商業施設における照明は、ただ明るい空間を提供するだけではなく、利用者の快適性や安全性、さらには施設の運営コストにも大きな影響を及ぼします。ここでは、駐車場照明の役割とLEDへの変更がもたらすメリットに焦点を当て、商業施設全体での照明交換がコスト削減と省エネにどのように寄与するかを解説します。
2-1| 駐車場照明の役割とLED化のメリット
駐車場照明のリニューアルにおいて、LED化は重要な選択肢となっています。LED照明は前掲した表のように、消費電力が水銀灯の約30%〜40%と省エネで、電気代の削減が期待できます。また、LED照明の平均寿命は40,000時間と、水銀灯の3,000〜12,000時間に比べて非常に長寿命です。この長寿命は、電球の買い替えコストや交換の手間を省くことにつながります。さらに、LEDはスイッチを入れると瞬時に点灯し、消灯後の再点灯も迅速です。
駐車場でのLED照明の導入は、安全性が向上します。暗い駐車場は利用者にとって不快で危険ですが、LED照明は明るく、均一な光を提供し明るい視界で事故や犯罪の防止にも寄与します。水銀灯は飛来昆虫やカメムシ等に強い誘引性があり、外灯の下2、3台分は駐車利用されず集客に影響があったり、死骸掃除、更にはまわりまわって食品に異物混入などの原因となる可能性もあったりします。その点でもLED照明は自然環境のみならず商業施設の運営環境にも優しい選択肢として注目されています。水銀を含まず、消費電力が少ないため排出するCO2も少なくなります。
LED照明へのリニューアルは、初期投資が必要ですが、長期的には電気代の削減やメンテナンスコストの軽減により、経済的なメリットが期待できます。また、LED照明の採用は照明の品質向上、省エネルギー、環境保護の観点からも、駐車場の運営において重要な役割を果たします。
2-2| 照明交換による商業施設のコスト削減と省エネ
水銀灯からLEDへの照明交換は、商業施設運営において大きな経済的メリットをもたらします。LED照明の特長として、電気料金の削減、ランニングコストの低下、そしてCO2削減への寄与が挙げられます。特にLED照明の発光効率は、白熱電球の6倍、蛍光ランプの1.3倍という高効率性を有しており、長期間の使用によって大幅なコスト削減が見込めます。
LED照明への交換による電気代の削減は顕著で、LEDの消費電力は水銀灯の約30%〜40%に抑えられるため、電気代の大幅削減が可能です。また、LEDは即時点灯するため、水銀灯と比較して作業効率が向上します。さらに、LED照明は長寿命であり、水銀灯の約4〜10倍の寿命が期待できるため、ランプ交換のコストや手間を削減できます。
このように、水銀灯からLEDへの切り替えは、商業施設の運営コスト削減と省エネに大きく寄与することが分かります。初期投資は必要ですが、長期的に見ればその投資は十分に回収できるため、商業施設運営者にとっては非常に有効な対策と言えます。
3| LED交換プロジェクトの実施ポイントと注意点
LED交換プロジェクトを実施するにあたり、具体的なポイントと注意点を把握することは重要です。ここでは、自分で水銀灯を交換できるのかの答えと、プロに依頼する照明器具交換の押さえておくべきポイントと注意点、信頼できる業者の選び方まで解説します。これらの情報を参考に、安全かつ効率的にLED交換プロジェクトを進めることができます。
3-1| 水銀灯は自分で交換できるのか?交換方法は?
高所で利用されている水銀灯のLEDへの交換は、駐車場や工場、屋外看板、街路灯等は作業に危険が伴うことが多いため、専門の業者に依頼することが推奨されます。
水銀灯をLED化する際に合は以下のような方法が考えられます。
・水銀灯の玉だけLED化するパターン
・照明器具ごとLED化するパターン
前者は、手軽にコスト安く導入できますが、水銀灯の球だけをLEDランプに交換する場合であっても、水銀灯の安定器を取り外し、配線工事が必要な場合が多く、結局工事費用がかさみます。安定器をLEDランプ専用の電源ユニットに置き換える場合も多く、器具ごと交換する場合と工事費用が大きく変わらない場合が多いのが現状です。
これに対し「バラストレス水銀ランプ」と称される水銀灯は、特に安定器が不要な構造です。これは、ランプ自体に安定器の役割を果たす「バラストフィラメント」が内蔵されているためです。その結果、このタイプの水銀灯をLED照明に交換する際、安定器の撤去工事が必要ないという利点があります。
特に、バラストレス水銀灯は屋外の看板照明によく用いられ、消費電力は160Wから700Wに及びます。これは一般的な蛍光灯と比べても高い消費電力ですが、LEDに置き換えることで最大90%の省エネ効果を見込むことができます。さらに、工事不要で交換が可能なため、コスト削減にも繋がります。
このように、自分でLEDランプを交換することは、工事のいらない照明器具であっても、高所作業などの足場が不安定な環境になるため難しいといっていいでしょう。安全性や効率を考慮すると、専門の業者に依頼することが望ましいです。業者を選ぶ際には、会社概要や導入実績を確認し信頼できそうな業者を選定することが重要です。
3-2| プロに依頼する照明器具交換の流れと業者選択
水銀灯をLED照明に交換する際には、いくつかの重要なステップと注意点があります。まず、既存の器具の耐荷重を確認し、LED照明器具の重量が設置場所に適しているかを検討する必要があります。また、LED照明器具のサイズや外形が、既存の水銀灯の設置場所に適合するかどうかも確認が必要です。
LED照明の発光方法は水銀灯と異なるため、この違いに対応する照明器具を選ぶことが大切です。明るさに関しては、LED照明器具の明るさはルーメン(lm)で表されますので、適切な明るさを持つ器具を選定することが重要です。
また、水銀灯の安定器を取り外すか、または放置するかの選択を行う必要があります。これらの過程において、専門知識を持つ信頼できる業者に依頼することが望ましいです。業者選定の際は、その業者の経験、専門知識、お客様の評価などを総合的に考慮することが重要です。初期費用と維持費、そして省エネ効果を考慮して、最適な交換方法を選択することが望ましいでしょう。
4| 全国展開する商業施設へのLED化計画とその実行
全国展開を進める商業施設におけるLED化計画は、単に環境への配慮だけではなく、経済的な観点からも重要な意味を持ちます。ここでは、LED照明への移行計画で考慮しておくべきポイントや進め方について詳しく掘り下げます。
4-1| LED化による長期的なコスト削減と運営の効率化
商業施設で使われている水銀灯は高所にあることが多く、高所の照明交換作業は、高所作業用に足場や車などを準備する必要があるため、費用も掛かります。そこで水銀灯をLEDにすることで寿命が延びるため、おのずと交換作業の回数も減少しメンテナンス費用も削減でき、廃棄にかかる費用も削減できます。
特に立体駐車場を管理している場合は24時間点灯しているケースが多いため、消費電力を大幅に削減し大きなコスト削減を実現することができます。
このような効果を全国的に波及させることは、コスト減、節電、省エネ、環境保護に寄与し、建物の価値の向上につながります。
施設のLED化を計画する際は、例えば以下のような目的を定めることでスムーズに進めることができます。
コスト削減をしたい場合は、同じ照明本数で照明の明るさや色を工夫してこれまでと変わらない環境にする。
快適性や防犯効果を高めたい場合は、LED化によってコストを削減した予算で照明本数を増設します。明るさの密度を増やすことで利用者の安心感にもつながり、防犯以外にも転倒防止、衝突等の事故を防ぐ効果も期待できます。
視認性や演色性など、現在の照明環境において譲れないことがあれば、LED照明を選ぶ際の指標としてみましょう。
専門業者には、実現したい状態を明確に伝え、アドバイスをもらいましょう。
こういった理由から、専門業者に依頼する際は以下のような業者を選ぶことをお勧めします。
・照度測定をしてくれる
・LED機器について提案やアドバイスをしてくれる
・限られた予算で優先順位などを考慮して計画工事をしてくれる
・導入後もメンテナンスをしてくれる
特に導入後のメンテナンス体制は、商業施設へのLED導入について理解している業者に引き続き依頼すると、その後の運用もスムーズです。
5| 商業施設のLED化は全国対応のトータルソリューションへ
商業施設における照明のLED化は、単なる環境対策以上の重要な戦略です。LED照明への切り替えによる省エネ効果は顕著であり、電気代の大幅削減が期待できます。
特に全国展開する商業施設では、このLED化によるコスト削減の影響が大きいでしょう。従って、商業施設運営者は、省エネとコスト削減を実現するために、トータルソリューションのように経験豊富で、電気工事をトータルに提供している電気工事業者への相談・依頼を検討することが重要です。尚、トータルソリューションは、全国を網羅する協力会社と独自体制を構築しているので、全国展開する商業施設の一括対応も可能です。是非ご相談ください。
トータルソリューションでは、電気設備を中心とした建物設備の総合メンテナンスを行っております。忘れがちな駐車場や倉庫等の水銀灯をLED化する際はトータルソリューションにご相談ください。また併せて既存照明の不点灯による器具交換、ブレーカー点検、アンペア変更、漏電調査、コンセントの焦げなどに伴う調査や施工など、電気設備の修理・メンテナンスはトータルソリューションにお任せください。契約金・固定費が0円で全国のトラブルを24時間365日受け付けています。この他にもLED照明の新規取付・交換工事、高圧受変電設備工事などの電気設備改修などの大型工事まで幅広く対応しております。オフィスや店舗環境を良くし、業務効率売り上げ向上のために電気設備の改善が必要な場合は、トータルソリューションにご相談ください。トータル的に長い目で快適な環境を維持できるように、問題解決を図ります。(※ご契約後にサービスが開始となります)
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