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T!ps – 電気設備 –

公開日:2023年3月23日

電気自動車(EV車)の導入すべき充電スタンドと費用の目安は?

電気自動車が増え充電スタンドの需要も高まっています。充電スタンドには種類があり、種類によって設置費用が異なります。どのような施設にどの種類の充電スタンドが適しているのか選び方を解説します。

1. 駐車場に電気自動車(EV)の充電スタンドは必要?

駐車場に電気自動車の充電スタンドを設置する施設が増えており、設置しようかどうか悩んでいる方もいると思います。充電スタンドを設置する施設が増えている背景には、日本政府が「2035年までに乗用車の新車販売において、電動車の比率を100%にする」という目標を掲げていることがあります。

今後は、現在主流となっているガソリン車ではなく、電気自動車が主流になると予想されます。店舗にとっては、電気自動車を充電できるスタンドの設置により、来店するお客様にアピールできると考えられます。

1-1. 電気自動車(EV車)の充電スタンドを利用するお客様のメリット

電気自動車の充電スタンドがある施設を利用すると、お客様には次のようなメリットがあります。

  • 用事を済ませている間に充電ができる
  • 24時間営業しているチェーン店では、いつでも充電できる
  • 普通充電なら無料で使用できる場合も

 

飲食店やショッピングモールに電気自動車の充電スタンドがあれば、お茶や食事、買い物を楽しんでいる間に電気自動車の充電をすることができます。充電時間は普通充電と急速充電で異なり、普通充電であれば無料で利用できるチェーン店もあります。

電気自動車は乗らない時間に充電するため、深夜から早朝にかけて充電したいと考えるユーザーが多いです。24時間営業のチェーン店の充電スタンドは深夜から早朝にかけては利用者が少なく、施設利用者でなくても充電OKとしているケースが多いです。利用者でなくても充電できるケースが多いですが、ついでにお店を利用する人もいます。

2. 電気自動車(EV)の充電スタンドの種類と費用

充電スタンドを設置する有用性が分かってきたところで、電気自動車の充電スタンドの種類を見ていきましょう。それぞれの充電スタンドの特徴のほか、本体や設置にかかる費用などを解説します。

2-1. 充電スタンドの種別は2つ。普通充電器と急速充電器

充電スタンドは2種類あります。

 

使用する電源 充電にかかる時間
普通充電器 100V、200V 数時間〜
急速充電器 200V 30分程度で約80%の充電が可能

 

電気自動車の普通充電器は、家庭で多く使われている100V電源でも充電可能です。しかし、200V電源を使用すれば、100V電源の充電器の半分程度の時間で充電できます。

普通充電器には、壁掛けタイプとスタンドタイプがあります。壁掛けタイプは柱や外壁がある場所のみ設置可能です。一方、スタンドタイプは、どこでも好きな場所に設置可能です。

急速充電器は多くの電力を使って短時間で充電する機械です。スタンド型が一般的ですが、ボックス型の中容量急速充電器では壁に取り付けて使えるタイプもあります。急速充電器を設置する場合は高圧受電設備である「キュービクル」を使って電力を供給する必要があります。

2-2. 充電スタンド本体の価格

充電スタンドの本体価格は充電器の種類やタイプによって異なります。相場は以下の通りです。

 

普通充電器(スタンド型、6kw出力) 1台20万円程度
(壁掛けタイプは20万円未満のものもある)
急速充電器(30kw〜50kw出力) 1台200万円程度

2023年3月現在

 

電気自動車の充電器は1台の充電器から車1台のみを充電できるタイプが一般的です。もし3台の車を充電できるように急速充電器を購入するとなると、本体費用のみで600万円程度必要になります。

2-3. 充電スタンドの設置にかかる費用

充電スタンドを設置するには本体費用以外に次の費用がかかります。

  • 設置工事費
  • 電力の空き容量が足りない場合の費用

 

電気自動車の充電スタンドを設置する際は設置工事費がかかります。設置工事費は業者や台数、設置する充電器のタイプなどによって異なります。設置工事費は複数台同時に行うことで割安となる場合があります。例えば、1台の設置工事費は30万円で2台同時に設置すると工事費は50万円になるなどです。

一般的に施設の共用電力にはある程度余裕があることが多いので、200Vの普通充電器を数台設置する程度であれば電力が足りなくなることはありません。しかし、多くの普通充電器の設置や急速充電器の設置を考えている場合は、電力が足りなくなるので変圧器の取り替えなどの工事が必要になるでしょう。

特に高圧受電設備(キュービクル)の設置が必要になると400〜500万円程度の費用が必要になる上、電気主任技術者を置くなどの保安コストもかかります。

2-4. 設置費用を考える際にチェックするポイント5つ

電気自動車の設置には細かいものまで含めてさまざまな費用がかかります。設置費用としてひとくくりにして考えるのではなく、それぞれを細かく確認しておくと予想外の出費を防ぐことができます。

  • 必要な電力量
  • 分電盤からの配線経路・距離
  • 専用回路、分岐ブレーカーの設置
  • 充電器のタイプを決める
  • 200Vの充電器が設置できるか契約を確認する

 

必要な電力量を計算し、前述した高圧受電設備のような高額の設備は不要と判断したとします。それでも電気容量を見直して、必要に応じて契約の変更や工事を行う可能性もあります。

例えば分電盤などから充電器までの配線経路や経路によっても費用が異なります。距離が近く配線しやすい状態であれば工事は難しくありません。しかし、充電器までの距離が遠い場合や、配線のためにコンクリートなどに穴を開ける必要がある場合は工事費が高くなります。

また分岐ブレーカーを使い充電スタンド専用の回路を設置することで、設置費用は追加になりますが、充電スタンドでブレーカーが落ちても他の設備に影響がないようにすることが可能です。商業施設などの場合は、検討してみてください。

施設で充電器を設置する場合、普通充電器のスタンドタイプか急速充電器を設置することになるでしょう。充電器を選ぶ際は、どのように充電器が利用されるのかをシミュレーションして決めます。施設ごとのチェックポイントは次の章で解説いたします。

スタンドタイプの普通充電器や急速充電器は200Vの電気が必要です。契約内容を確認し、200Vの充電器が設置できることを確認しておきましょう。

3. 施設別!充電スタンド導入の際のチェックポイント

電気自動車の充電スタンドの導入を考えている場合、設置予定施設ごとに導入前にチェックするポイントが異なります。設置予定施設に合わせて確認していきましょう。

3-1. 充電形態は2つ。プライベート充電とパブリック充電

電気自動車の充電形態は、充電器を設置する場所によって、プライベート充電とパブリック充電の2つに分けられます。それぞれ、どのような場所に設置するものなのかを確認していきましょう。

3-2. プライベート充電

プライベート充電とは契約者や場所の所有者だけが使うことができる充電場所です。普通充電器を導入しているケースが多く、車を保管する場所で車を使っていない時間帯に充電します。

 

平置き・自走式駐車場 駐車場の区画付近に充電区画を設ける。壁面を使った100V、200Vの他、スタンド型の充電器も設置可能
機械式駐車場
(二段または多段方式)
機械式駐車場に充電器が設置できるのか、設置できる充電器の種類などはメーカーに確認が必要

3-2-1. 分譲マンション

分譲マンションで電気自動車の充電器を設置したい場合、管理組合の総会での決議が必要になるケースが多いです。合意に至った場合でも、導入時の費用の分担についても検討する必要があります。

また、分譲マンションの駐車場が平置き・自走式なのか、機械式なのかによって、電気自動車充電器が設置できるかどうか変わることがあります。

設置後の整備等は、マンションの管理組合が行うケースだけでなく、分譲マンションの開発事業者が行う場合もあります。

3-2-2. 事業所ビル

事業所ビルでも駐車場区画付近に電気自動車の充電器を設置します。この場合も平置きや自走式のケースと機械式駐車場のケースで、電気自動車充電器が設置可能かどうかが変わるため、分譲マンションと同様のポイントをチェックしましょう。

3-2-3. 月極駐車場(一般)/契約駐車所(業務)

月極駐車場や契約駐車場では、基本的には電気自動車の充電スタンドは駐車場区画付近に設置します。駐車場に電力線が通っていない場合は引き込みのための電気工事などが必要です。

電気代の徴収方法も考えておく必要があります。賃料に電気代を上乗せして請求する方法もありますが、車の使用頻度などにより電気代が異なる点が課題です。またオーナーが電力の契約をした場合、電気の利用料に合わせて毎月請求書などを使って請求する作業が必要です。手間が増えてしまうでしょう。

契約者が電気の契約をして、電気代を直接支払う方法もあります。

屋外駐車場で充電器を設置する場合の設置場所は、設置コストや利便性、安全性などを考慮して判断することが重要です。

3-3. パブリック充電(目的地充電)

パブリック充電とは、公共の場所に設置された充電器です。利用料を払うことで誰でも充電器を使用できます。パブリック充電は3つに分けることができ、出かける際の目的地で充電することを目的地充電と呼びます。

目的地充電では滞在時間の長い施設では普通充電器を、30分程度の短時間の滞在であれば急速充電器を設置しているケースが多いです。施設利用者の施設までの移動距離と施設滞在時間を考慮して、導入する充電器のタイプを選びます。

なるべく早く設置したい場合は、今ある電源を活用しながら、少しずつ導入を進めていくのがおすすめです。

3-3-1. 大規模商業施設/一時預かり駐車場/観光地/ホテル・旅館

これらの施設は滞在時間が長いため普通充電器を設置するケースが多いです。設置する際は既存の電源を活用することが多く、壁面などに100V、200Vのコンセントやスタンド型の充電器を、改装などのタイミングに合わせて設置します。

施設によって滞在時間や施設利用者の移動距離がさまざまです。駐車場の状況とニーズに合わせて施設にあったタイプの充電器を選ぶことが大切です。

3-3-2. 病院/公共施設

病院や公共施設も比較的滞在時間の長い施設なので、普通充電器を設置するケースが多いです。施設によって平置きの駐車場だけでなく機械式の場合もあり、機械式の場合は設置できるのかどうかを関係メーカーに確認する必要があります。

壁面などに100V、200Vのコンセントやスタンド型の充電器を設置するケースが多いです。公共施設では後述する緊急充電への対応も検討すると良いでしょう。

3-3-3. 飲食店/スーパー

飲食店やスーパーは比較的滞在時間が短い場合は、急速充電器を導入するケースが多いです。しかし、飲食店で滞在時間が長い場合は普通充電器を導入するケースもあるでしょう。

壁面などに100V、200Vのコンセントやスタンド型の充電器を設置するケースが多いです。

3-4. パブリック充電(経路充電)

パブリック充電(経路充電)とは、電気自動車で長距離の移動を行う際に、都市間の主要な走行ルートや観光ルートになる道路で必要に応じて利用される充電方法です。

パブリック充電(経路充電)が行える場所の一例をご紹介します。

  • 高速SA・PAや道の駅
  • 商業施設や飲食店、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド

 

それぞれの施設で導入する際のチェックポイントを確認しておきましょう。

3-4-1. 高速SA・PA/道の駅

高速のSA・PAや道の駅では比較的滞在時間が短いため急速充電器を導入することが多いです。駐車場は屋外で平置きのケースが多く、利便性やコストだけでなく安全性も考慮して設置場所を検討する必要があります。

3-4-2. 幹線道路沿いの商業施設・飲食店コンビニエンスストア/ガソリンスタンド

幹線道路沿いの商業施設や飲食店等では、施設によって滞在時間が異なるため、急速充電器だけでなく普通充電器の設置も検討します。

特に充電の待ち時間に食事や買い物、休憩ができる施設では滞在時間が長くなることもあるでしょう。複数の施設で電気自動車の充電スタンドの導入を検討している場合は、充電しながら食事等ができる施設から優先的に設置を検討します。

3-5. パブリック充電(緊急充電)

パブリック充電には走行中に電気自動車の残りの電力量が少なくなった場合に利用できる、緊急充電としての利用も考えられます。設置場所は自動車販売店や公共施設、コンビニエンスストアなどがあり、緊急性があるため24時間利用できる環境が望ましいです。

24時間利用可能という点から屋外に設置することが多いため、コストや利便性だけでなく安全性も考慮した設置場所の検討が必要です。また緊急性があるため急速充電器が多く利用されています。

参照:「駐車場等への充電施設の設置に関するガイドライン」国土交通省都市局 2012年6月(2023年3月現在)

4. 導入後の保守・メンテナンスは、導入前に考えて

電気を使う器具なので導入後も定期的にメンテナンスをし、修理や部品交換をして安全に使い続けられるようにすることが大切です。使用者の目視による日常的な点検のほか、メーカーが定めた頻度に従い専門家による点検を計画的に行います。

特に車両と接続する部分「充電コネクタ」の電極部分は、抜き差しによるメッキの剥がれで錆びることがあります。錆びた状態で使用を続けると発熱などの危険があるので早期の交換が必要です。電極部分のサビは使用者の目視では確認できないので、使用回数を目安に交換すると良いでしょう。

メンテナンスの計画を立てるのが難しい、維持費がかかることが不安な場合は、電気設備だけでなく防災や給排水などその他の設備もまとめてメンテナンスを依頼できる、建物設備総合メンテナンスのトータルソリューションにご相談ください。

5. まとめ

今後は現在のガソリン車ではなく電気自動車が主流になると予測されます。そのため電気自動車の充電スタンドの需要は高くなるでしょう。利用者にとっては充電スタンドがあることのメリットが多いため、充電スタンドの導入を進める施設が増えてきています。

電気自動車の充電スタンドを設置するには費用がかかりますが、お店のサービスを利用してもらえる機会も増えます。

また、快適に利用してもらうためにはメンテナンスも大切です。導入時に一緒にメンテナンス会社に相談をしておくことで、思わぬトラブルも早期に対応でき、機会損失を防ぐことができます。

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