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Tips – 防災設備 –

【基礎編】消火用スプリンクラーには設置基準がある!施設ごとの基準とスプリンクラーの種類

公開日:2022年03月24日

更新日:2026年05月29日

スプリンクラーは消防用設備の一つで、初期消火を目的として設置されます。

さまざまな施設で設置されていることから認知度の高いスプリンクラーですが、消防法で設置基準が細かく定められていることはご存知でしょうか?具体的には、建物の「階数」「用途」「床面積」によって、設置基準が変わってきます。

本記事では、店舗などを新設する際や既存の建物を用途変更する際に押さえておきたい、スプリンクラーの設置基準をご紹介します。スプリンクラーの種類ごとの特徴や適した設置場所についてもご紹介していますので、スプリンクラーを選ぶ際にお役立てください。

なお、設置基準が少し複雑な医療機関と福祉施設の内容については、別の記事で紹介しております。医療機関や福祉施設の方は、下記の記事もあわせてご覧ください。

【基礎編】消火用スプリンクラーには設置基準がある!施設ごとの基準とスプリンクラーの種類

この記事は、こういう方におすすめです!
    • 「新規開業予定の店舗・施設などが、スプリンクラーの設置が必要な物件なのか」を見極めたい店舗オーナーまたは施設管理担当者
    • スプリンクラーの導入計画を作成するにあたり、「どの階にスプリンクラーの設置が必要になるのか」を把握しておきたい店舗オーナーまたは施設管理担当者
    • 建物の用途変更を検討しており、変更後の用途でのスプリンクラー設置基準を知りたい店舗オーナーまたは施設管理担当者
    • スプリンクラーの設置を検討しており、まずはスプリンクラーの全体像を把握したい店舗オーナーまたは施設管理担当者

飛べるもくじ

1| スプリンクラーは初期消火のための設備です

スプリンクラー設備とは、消防用設備の一つで、火災発生を感知し天井から放水して鎮火するまでを自動的に行う消火設備です。基本的には、初期消火を図る設備になります。

初期消火の重要性

火災発生時はまだ火が小さい間に鎮火を目指す初期消火が重要になります。初期消火が可能なのは、天井に火がまわるまでと言われていますので、天井まで火がまわってしまった場合は、スプリンクラーが作動しているからと安心せず、直ちに逃げることが命を守るのに大切であることも一緒に覚えておいてください。

スプリンクラーは初期消火のための設備です

2| 【徹底解説】スプリンクラーの設置基準

【徹底解説】スプリンクラーの設置基準

スプリンクラーの設置基準は非常に複雑です。そのため、こちらでは設置基準の概要を理解できるような紹介をしていきたいと思います。あとで詳細に決められたスプリンクラー設置基準の一覧表を見ても、ルールが掴めていれば、理解できると思います。

2-1| 消防法では、スプリンクラーの設置基準はどのように定められている?

スプリンクラーの設置基準は、消防法の消防法施行令第12条によって細かく定められています。例えば階層や延床面積によって設置されるものが異なります。建物の構造や利用者の特徴を考慮し逃げ遅れや経済的損失がないように、安全に配慮した内容になっています。建物の一部を用途変更したり、改装するなどしてスプリンクラー設備の設置義務が生じることもありますので、設置基準は必ず事前に確認しておいてください。

スプリンクラー設備の設置義務が生じる設置条件は、以下の条件で判断されます。
◆建物の階数
◆建物の用途
◆建物の延べ面積・各階の床面積
◆建物の構造(耐火/非耐火)

消防法では、スプリンクラーの設置基準はどのように定められている?

2-2| ポイント1:建物「階層」によって設置基準は異なる!

まず押さえるべきポイントは階層ごとの基準です。階層によって、設置基準は大きく変わってきます。

2-2-1| 【高層階】11階以上:設置が必須(基準はとても厳しい)

地上階だけで11階建て以上の高層階においては、原則11階以上の階はもちろん、すべての階に必ずスプリンクラーを設置する必要があります。

高層階で火災が発生した場合、建物の外に避難することが容易ではないため、初期消火することが大変重要になってきます。

2-2-2| 【中層階】4階から10階まで:設置義務の有無は建物の用途による(基準はやや緩め)

建物において4〜10階は中層階となります。中層階は、建物の用途によってスプリンクラー設置義務の有無が変わってきます。

自力では逃げ出しにくい高さであっても、はしご車が届くため設置基準が高層階よりは緩和されます。

2-2-3| 【一般階】1階から3階まで:設置義務の有無は建物の用途による(基準は緩め)

建物の1〜3階は一般階となります。一般階も建物の用途によってスプリンクラー設置義務の有無が変わってきます。

火事が起きても自力で逃げ出せる高さということもあり、設置基準が他の階よりも緩和されています。

2-2-4| 地階(地下)又は無窓階:設置義務の有無は建物の床面積や用途による(基準は厳しめ)

地下の階や、消防法上の「無窓階(避難に有効な大きさの窓がない階)」は、地上であっても設置基準が厳しくなります。原則として床面積1,000平米以上で設置義務が生じますが、用途によってはさらに狭い面積でも対象となります。

窓などの開口部が小さい場合は、煙がこもりやすく、はしご車による救助や避難が困難なため、早めの自動消火が求められています。

2-3| ポイント2:建物の「用途」「床面積」によって設置基準は異なる!

次に押さえるべきポイントは、建物の「用途」と「床面積」です。用途によって、「床面積がいくつ以上だとスプリンクラーの設置が必要か」が変わってきます。消火設備には、スプリンクラーの他にもいくつか種類があります。消火器や屋内消火栓などです。そのため、消火器の設置だけで初期対応を十分カバーできる施設なら、スプリンクラーを設置する義務はありません。

スプリンクラーの設置基準が定められているのは、主に以下のような施設になります。

  • 【会場施設】映画館・劇場など、【集会施設】集会場・公会堂など
  • 【歓楽施設】キャバレー・ナイトクラブなど、【娯楽施設】ダンスホール・カラオケなど
  • 【店舗】飲食店など、【商業施設】デパート・スーパーなど
  • 【宿泊施設】ホテル・旅館など
  • 【教育機関】幼稚園・養護学校(特別支援学校)など ※教育機関のうちでも、災害時の避難に不安がある人を対象とした教育機関


それぞれについて、見ていきましょう

【会場施設】映画館・劇場など
【集会施設】集会場・公会堂など

以上の施設では、次のような設置基準が定められています。

・延べ床面積6,000平米以上の一般階(1階から3階まで):全フロアに設置
・床面積1,000平米以上の地階・無窓階:その階に設置
・床面積1,500平米以上の中層階(4階から10階まで):その階に設置
・11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア

11階建て以上の場合には、建物全体にスプリンクラー設置義務が生じるルールになっているので注意が必要です。
では、上述をすべての施設の基準と捉えて他の施設も見ていきましょう。

スプリンクラー設置基準:映画館の画像

【歓楽施設】キャバレー・ナイトクラブなど
【娯楽施設】ダンスホール・カラオケなど

以上の施設では、次のような設置基準が定められています。

・延べ床面積6,000平米以上の一般階(1階から3階まで):全フロアに設置
・床面積1,000平米以上の地階・無窓階:その階に設置
・床面積1,000平米以上の中層階(4階から10階まで):その階に設置
・11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア

POINT:歓楽施設や娯楽施設の場合、中層階の設置基準がやや厳しくなります。

スプリンクラー設置基準:カラオケの画像

【店舗】飲食店など
【商業施設】デパート・スーパーなど

以上の施設では、次のような設置基準が定められています。

・延べ床面積3,000平米以上の一般階(1階から3階まで):全フロアに設置
・床面積1,000平米以上の地階・無窓階:その階に設置
床面積1,000平米以上の中層階(4階から10階まで):その階に設置
・11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア

POINT:店舗の場合、中層階に加え一般階の設置基準が非常に厳しくなっています。ほかの施設と比べて、半分の床面積でもスプリンクラーを設置しなければなりません。

スプリンクラー設置基準:店舗の画像

【宿泊施設】ホテル・旅館など

以上の施設では、次のような設置基準が定められています。

・延べ床面積6,000平米以上の一般階(1階から3階まで):全フロアに設置
・床面積1,000平米以上の地階・無窓階:その階に設置
・床面積1,500平米以上の中層階(4階から10階まで):その階に設置
・11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア

POINT:最近急増している民泊についても、宿泊施設の設置基準が適用されます。

スプリンクラー設置基準:旅館の画像

【教育機関】幼稚園・養護学校(特別支援学校)など
※教育機関のうちでも、災害時の避難に不安がある人を対象とした教育機関

以上の施設では、次のような設置基準が定められています。

・延べ床面積6,000平米以上の一般階(1階から3階まで):全フロアに設置
・床面積1,000平米以上の地階・無窓階:その階に設置
・床面積1,500平米以上の中層階(4階から10階まで):その階に設置
・11階以上の高層階が存在する場合は建物の全フロア

POINT:避難が困難な幼児・生徒を教育する機関の場合、通常の教育機関より厳格な基準が適用されます。
※通常の教育機関は11階以上の高層階だけに設置すれば良いことになっています。

スプリンクラー設置基準:幼稚園の画像

以上、簡単ではありますが、施設ごとのスプリンクラー設置基準を紹介してきました。
ご覧いただいたように、床面積、階層など、さまざまな条件によって設置義務の有無が決まるため、上記に該当する施設でも、必ずしもスプリンクラーの設置義務があるとは限りません。建物の用途や、耐火構造であるかといった建物の構造によっても、スプリンクラーの設置基準は異なりますので、しっかり確認してください。上記でポイントを押さえているので、抵抗がなく読み解くことができると思います。

なお、医療機関と福祉施設に関しては、さらに細かい設置基準がありますので別のページにまとめています。法改正の内容にも触れていますので、以下リンクを参考にしてみてください。

3| 5種類あるスプリンクラー設備。どれを選ぶべき?

5種類あるスプリンクラー設備。どれを選ぶべき?

実は、スプリンクラー設備には以下の5種類があります。

スプリンクラーの種類

  1. 開放型スプリンクラー
  2. 放水型スプリンクラー
  3. 湿式スプリンクラー(閉鎖型)
  4. 乾式スプリンクラー(閉鎖型)
  5. 予作動式スプリンクラー(閉鎖型)


防火対象物(不特定多数の人に利用される建造物等のこと)に設置が義務づけられており、施設の使用用途や天井高や設置地域によって適切な設備を設置します。

基本スプリンクラー設備は、水源、消火ポンプ、自動警報装置、スプリンクラーヘッド、送水口、配管等から構成されていますが、使用環境に合わせスプリンクラーヘッドや配管方式等によって色々な設備形態があります。

ここからはスプリンクラー設備の種類と適した設置場所について解説していきます。

3-1| 倉庫などに設置される「開放型スプリンクラー」

開放型スプリンクラーとは、ヘッドの放水口が常に解放されているタイプの設備です。ヘッドに感熱部がなく、弁が外れることで一斉に放水します。急速に火災が成長し拡大する可燃物が存在する場所に有効です。また、開放型スプリンクラーヘッドとは別に、煙あるいは炎を検出する火災感知器を設けます。さらに、放水区域ごとに手動起動弁を設けます。

設置に向いている場所は、劇場などの舞台部や化学工場、倉庫などです。

開放型スプリンクラーイラスト

3-2| 展示場などに設置される「放水型スプリンクラー」

放水型スプリンクラーには、壁もしくは天井に設置された固定式ヘッドから一斉に放水する方式と、放水銃など放水範囲が変えられる可動式ヘッドを用いた方式があります。センサーで火災場所を狙って放水できます。一緒に火災感知器も壁もしくは天井に設置します。手動操作によっても設備を起動できます。

設置に向いている場所は、おもにアトリウムや展示場など、10mを超える高天井部分もしくは物販店舗等の場合は6mを超える部分です。

放水型スプリンクラーイラスト

3-3| 一般的な店舗・オフィスなどに設置される「湿式スプリンクラー(閉鎖型)」

湿式スプリンクラーは、一般的な店舗・オフィスなどにもっとも採用されているスプリンクラー設備です。「閉鎖型」とは、ヘッドに感熱部があるタイプのことです。ヘッドの放水口まで常に水がある状態(充水)で、火災による熱でヘッドが破損すると直ちに放水します。
上述した「開放型」の方が放水が早く、「閉鎖型」はヘッドが熱で破損するまで放水しません。

天井が10m以下もしくは物販店舗等の場合は6m以下の範囲に設置されます。

湿式スプリンクラーイラスト

3-4| 寒冷地などに設置される「乾式スプリンクラー(閉鎖型)」

乾式スプリンクラーは、湿式と同じようにヘッドが熱で破損すると放水します。違うところは、水を制御する弁からヘッドの放水口まで圧縮空気が充満しているところです。これは水の凍結を避けるためです。

設置に向いている場所は、おもに屋外軒下や寒冷地で暖房のない建物など、配管内の水が凍結する恐れのある対象物です。範囲は、天井が10m以下もしくは物販店舗等の場合は6m以下の範囲に設置されます。

乾式スプリンクラーイラスト

3-5| 通信機器室などに設置される「予作動式スプリンクラー(閉鎖型)」

予作動式スプリンクラーは火災報知器と併せて設置されます。水の制御弁からヘッドの中までは圧縮空気が入っていて、火災報知器などの作動により配管中に圧力水を送り、さらに火災によるスプリンクラーヘッドの作動により放水を開始します。スプリンクラーの誤作動や謝って破損させてしまった場合でも、火災報知器が感知していないと放水はしません。

設置に向いている場所は、おもに通信機器室や電算室など、スプリンクラーヘッドの破損などによる水損を特に避けたい範囲で用いられます。範囲は、天井が10m以下もしくは物販店舗等の場合は6m以下の範囲に設置されます。

予作動式スプリンクラーイラスト

3-6| スプリンクラー設備種類のまとめ

ここまでスプリンクラーの種類をまとめて紹介してきましたが、いかがだったでしょうか。
上述のように、スプリンクラー設備は、建物の高さや広さ、また用途によって設置タイプが変わってきます。ここで頭の中を整理してみましょう。

スプリンクラー設備種類

開放型
・急速に火災が成長し拡大する可燃物が存在する場所に向いている
・スプリンクラーヘッドに感熱部がないため火災報知器とセットで設置する
・水の出口が常に開いている。
・閉鎖型よりも放水が早い
放水型
・天井高10メートル以上に設置する
・火災報知器と連動して作動するため、誤作動の心配がない
・センサーを利用して火災が起きている場所に放水が可能
閉鎖型

【湿式】
・最も一般的なタイプ
・水の出口が常に閉じられている。
・配管内に水が充満している。
・感熱部の金属が熱で溶けて放水する。

【乾式】
・寒冷地仕様のタイプ
・水の出口が常に閉じられている。
・配管内に空気が充満している。(凍結の心配がない)
・スプリンクラーヘッドの感熱部の作動によって放水する

【予作動式】
・火災報知器と連動して作動するため、誤作動の心配がない
・水の出口が常に閉じられている。
・配管内に空気が充満している。
・精密機器などが置いてある所に設置されていることが多いです。

新築、もしくは既存の建物にスプリンクラーを導入したいとお考えの方は、こちらを参考に、工事会社へ依頼をしてみてください。

4| スプリンクラー設備の導入・整備・点検は防災設備会社に依頼を!

スプリンクラー設備の導入・整備・点検に必要な資格は、消防設備士です。

スプリンクラーは、消防設備士(1類)の有資格者のみが取り扱えます。消防設備士(1類)には「甲種1類」と「乙種1類」があり、対応できることが異なります。

対応できること 補足
甲種1類 「工事」「整備」「点検」ができる スプリンクラーの導入には、甲種1類が必要!
乙種1類 「整備」「点検」のみができる 乙種1類では、スプリンクラーの導入ができない!

上記の資格を持っていないと作業できないため、スプリンクラーの導入・整備・点検に際しては、消防資格を持った工事業者のいる防災設備会社に依頼する必要があります。

なお、建物設備全体の管理やメンテナンス、改修等のサービスを提供している会社であれば、電気設備や空調設備などと一緒に相談にのってもらえる可能性があります。

スプリンクラー設備の導入・整備・点検は防災設備会社に依頼を!

5| スプリンクラーの設置基準を理解し、適切に設置しよう!

スプリンクラーの設置基準を理解し、適切に設置しよう!

今回は、スプリンクラーの設置基準と、その種類や特徴について解説してきました。階層ごとや、施設ごとのポイント、基準の考え方を押さえると、理解しやすくなったかと思います。これから消防用設備の導入をご検討の法人様、もしくは、消防設備士の資格を取ろうと思っている方にとって何かのお役に立てていましたら幸いです。

  • スプリンクラー設備とは、初期消火を図る設備で火災発生を感知し、天井から放水して鎮火するまでを自動的に行う消火設備です。
  • スプリンクラー設備の設置義務が生じる設置条件は、建物の階数、建物の用途、建物の延べ面積で決まります。
  • スプリンクラーの設置基準は階層によって異なり、高層階(11階以上)、中層階(4階から10階まで)、一般階(1階から3階まで)、地階(地下)又は無窓階の4つに分類されます。
  • スプリンクラー設置基準は、建物の用途と延べ床面積でも基準が変わってきます。例えば消火器の設置だけで初期対応を十分カバーできる施設なら、スプリンクラーを設置する義務はありません。
  • スプリンクラーには「開放型」「放水型」「湿式(閉鎖型)」「乾式(閉鎖型)」「予作動式(閉鎖型)」の5種類ありますが、設置場所の特徴に合わせた物を選ぶ必要があります。
  • スプリンクラーの導入は、消防資格を持った工事業者のいる防災設備会社に依頼する必要があります。
    もし、すでに建物設備全体の管理やメンテナンスをしている会社に電気設備などをお願いしている企業であれば、一緒に導入や更新の相談をしてみてはいかがでしょうか。
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