
公開日:2023年2月13日
更新日:2026年2月27日
ビルの電気設備点検?規則や点検内容を詳しく解説!
ビルにはたくさんの電気設備がありますが、安全に使うためには定期的な点検が欠かせません。どのような点検をどういったタイミングで実施する必要があるのでしょうか。具体的にどのような電気設備が点検対象なのかも、気になるところです。
そこで、この記事では、電気設備の種類や電気設備点検の種類・内容などをご紹介します。年に一度、点検のために行う法定停電の重要性や法定停電時の対応についても解説していますので、あわせて参考にしてください。

1. ビルにはどんな電気設備がある?

ビルの電気設備点検について解説する前に、皆さんにまず理解していただきたいのが「電気機器」と「電気設備」の違い・関係です。
「電気機器」とは、文字通り、電気を使って動く機器のことです。私たちにとって身近なものとしては、エアコンやテレビ、スピーカーなどがあります。
一方、「電気設備」とは、電気機器が利用できるように、発電所から送られてくる電気を供給するための設備のことです。電気機器を動かすための「土台」「インフラ」となっている設備ともいえます。具体的にどういった電気設備があるかについてはこのあとご紹介しますが、イメージしやすいものですと自家発電機や分電盤などがあります。
電気設備点検の対象となるのは、電気設備(正確には「電気工作物」、定義などについては後述)であり、電気機器ではありません。
1-1. 電気設備の種類
| 発電設備 | 電気を作るための設備 火力、風力などの発電方法に関わらず発電のための設備全般 |
| 送配電設備 | 電気の通り道となる設備。電線 発電した電気を実際に使う場所まで運ぶ設備 |
| 構内電気設備 | 送られてきた電気を利用するための設備 用途によって電気エネルギーに変換 |
ビルの電気設備で考えると、具体的には以下のようなものがあります。
- 発電設備:自家発電機、太陽光発電設備、蓄電池設備
- 送配電設備:キュービクル、配電盤、分電盤など
- 構内電気設備:照明設備、 動力設備(エレベーターや空調設備などを動かすためのモーターや関連設備)、コンセント設備など
1-2. 電気設備を正しく使うための法律
電気設備は私たちの生活に不可欠な反面、正しく使用しないと火事などの危険もあります。安全に問題なく利用できるように、電気設備の設置や点検、点検の技術基準が電気事業法によって定められています。
この電気事業法が定めている基準にそって安全を確保するため、電気設備の設置者(ビルの所有者など)には、設備に応じた保安規定を作成・遵守することが義務付けられています。この規定には、定期的な点検(法定停電を伴う年次点検など)に関する内容が含まれ、作成された保安規定は、監督官庁である経済産業省資源エネルギー庁に届け出なければなりません。
2. 電気設備の法定点検について

そもそも、法定点検とは定期的に点検することを法律で定めているものです。電気設備は私たちの日常を支える設備とも言えますが、漏電による感電や火災につながる危険なものです。電気を安全に使うため、電気事業法では電気設備に関する電気保安点検を義務としています。
2-1. 電気設備の法定点検は施設責任者やオーナーの義務
電気設備点検に関する義務の主体は、施設の責任者・オーナーです。具体的には、電気事業法において、定期的な保安点検が義務付けられています。
一方、点検実施に関する規定(保安規程)作成にかかわる助言や、点検の実施を担うのは、電気主任技術者という有資格者です。
保安規定には、点検の頻度や内容などを細かく定めます。点検の内容自体は法律で画一的に決められてはいないため、設備の状況に応じて、電気主任技術者が助言を行います。電気主任技術者の助言・知見に基づき、事業者が保安規程を策定します。事業者によって策定された保安規定に基づき、点検が実施されます。
また、点検を実施した電気管理技術者は、施設の責任者・オーナーに点検結果を報告しなければなりません。
なお、点検の実務については、外部の専門業者(電気管理技術者が所属する会社)に業務委託することができます。実際、多くのビルでは点検実務を業務委託しています。
2-2. 法定点検では電気工作物を点検する
- 一般電気工作物
- 事業用電気工作物
- 自家用電気工作物
それぞれ、ご紹介します。
2-2-1. 一般用電気工作物

一般電気工作物とは、600ボルト以下の電圧で受電し、使用する電気工作物です。具体的には個人商店など小規模な店舗の照明器具や住宅の屋内配線やコンセントなどを指します。また、50㎾未満の太陽光発電機などの発電設備も該当します。
2-2-2. 事業用電気工作物

電気工作物のうち、一般電気工作物に含まれないものはすべて「事業用電気工作物」と呼ばれます。その中でも、特に電力会社の電気事業に使われる設備を指し、電圧が高いので、設置するには安全確保のための措置をとる必要があります。具体的には電力会社の発電所やダムなどが該当します。
2-2-3. 自家用電気工作物

事業用電気工作物の中でも、電気事業者から600ボルトを超える電圧で受電している電気工作物です。工場やビルの変電設備などが含まれます。高電圧の電気を一般的に使える形に変換する「キュービクル」も自家用電気工作物です。
自家用電気工作物を設置した場合は、保安点検は電気主任技術者が担当もしくは監督することになっています。しかし、自社で電気主任技術者を雇うことが難しい場合は、「外部委託承認制度」を利用し業者に委託することもできます。
2-3. 事業継続には欠かせない!電気保安点検業務の重要性
電気は私たちの生活や事業に欠かせません。長く電気設備を使い続けていると、経年劣化や設備の老朽化による不具合が考えられます。安全に電気設備を使うためには電気保安点検業務が重要です。
万が一、不具合によって電気が使えない状況になったら、事業が行えません。さらに他の機器の故障や事故にも繋がり大きな損失につながるリスクがあります。定期的に点検を行い、故障の兆候を早期に発見し、事故を未然に防ぐことが大切です。
また、電気事業法では定期的な点検が義務付けられており、点検業務を行わなかった場合は、法律に基づく罰則や設備の停止命令などの対象となり、使用責任者やオーナーが責任を問われます。下記から、電気保安点検業務の具体的な内容についてご紹介します。
2-4. 4種類の電気保安点検

電気保安点検は主に、「月次点検」「年次点検」「臨時点検」「事故対応」の4種類があります。それぞれの点検を行う頻度や内容をご紹介します。
2-4-1. 毎月1回実施する「月次点検」
- 設備は運転したままで点検、測定を行う
- 配線や保安装置を目で見て確認する
- 電圧や電力測定をし、異常がないかを確認する
2-4-2. 年1回実施する「年次点検」
年次点検とは、原則として年に1回行われる点検です。点検の内容や特徴をご紹介します。
- 停電状態で点検する
- 機器内部の清掃や精密な絶縁測定を行う
- 保護装置(ブレーカー等)が正しく作動するか試験する
月次点検との大きな違いは、電気を止めて停電状態で点検することです。停電中に行うため、漏電のチェックや機器内部の点検もできます。しかし、停電をさせるため事業への影響が大きいです。短時間で済ませられるように準備をします。
原則として毎年1回行いますが、機器の信頼性が高いなど条件が満たされた場合、頻度が緩和され、3年に1回などに延長されることもあります。月次点検同様に点検報告書の作成、保管が義務付けられています。
2-4-3. トラブルなどの発生時に実施する「臨時点検」
臨時点検とは、何らかのトラブルやアクシデントがあったときに行うものです。実施のタイミングは定められておらず、次のような場合に行います。
- 定期点検で異常があったとき
- 天候等によって電気事故が予想されるとき
定期点検で異常が認められたときは、正常な状態に戻すために修理等をおこなうだけでなく異常が起きた原因を調査します。また台風や降雪、大雨などの悪天候によって事故が予想される場合に、事前に対策を行い事故を防ぐことも臨時点検です。
2-4-4. 停電や漏電などの発生時に実施する「事故対応」
事故対応は、停電や漏電などの事故やトラブルがあったときに行うものです。緊急性が高いので、必要な時にいつでも対応できるような担当者を決めておくことが大切です。
現場を確認し必要に応じて送電の停止や応急処置をします。また事故の原因を調査し、再発を防止するためのアドバイスをすることもあります。
3. 年に1度、点検のための停電(計画停電)も必要

法定停電とは、年に一度、点検のために行う停電で、電気事業法の保安規定に定められています。工場やビルなど、一定以上の出力のある事業用電気工作物を設置している場合に行う必要があります。
一般的なオフィスビルなどは、電力会社から高圧の電気を引き込み、構内に設置している「キュービクル」という設備で、使用できる電圧に変換しています。原則的に年に一度、キュービクルも点検する必要があるため、ビルに送配電ができず、全館で停電します。
- 予期しない全館停電
- 感電事故や火災等
- 波及事故
キュービクルの絶縁体の劣化等が原因で漏電が起こり感電事故や火災が発生するリスクもあります。さらに、キュービクルは高電圧を受電しているため、近隣の設備や地域一帯が停電してしまう波及事故が起きることがあります。影響が大きく社会問題や賠償問題につながることがあります。
このような事故が起きないようにするために定期的に全館停電をし、徹底的に点検を行います。
3-1. 法定停電では準備が重要!
施設の全館停電によって、住宅等の停電と同様の影響がでます。具体的には、電気を使った主要な電気設備(空調、照明など)が停止する他、水道ポンプなども動かなくなるため、水道が利用できなくなります。また、ガス機器を稼働させるのにも電気が必要ですので、法定停電時にはガス給湯器なども使えません。
住宅での停電と異なる点は、工場やビルでは24時間365日稼働している重要な電子機器があるという点です。停電時には、受電設備だけでなく、それに接続されているサーバーやパソコンなどはもちろん、防犯カメラや電子キーなどのセキュリティ機器も停止します。
サーバーやパソコンは停電により正常なシャットダウンが行われないと、データの消失やシステム障害につながる可能性もあります。また電力復旧後にはほこりが原因となって、通電火災や回線ショートによる機器の故障といった大きな事故が起きるかもしれません。事前に準備や対策をしましょう。
3-2. 法定停電時やその前後に何をしたらよい?
3-2-1. 【法定停電前】事前対策をする
停電した際にどのような影響があるのか、範囲を把握します。通常、法定停電は夜間や休業日などに行います。しかし、その期間にも、稼働している電気設備があるはずです。停電の影響を把握するために、どのような電気設備が動いているのかをリストアップすることが大切です。同時に、予備バッテリーなどを使用して停電を回避できないかも検討するとよいです。
次に、コンピュータの稼働を終了させ電源を落とす「シャットダウン」を行う必要がある機器をリストアップします。リスト化した機器のシャットダウンと立ち上げの方法をマニュアル化しておくと、停電時や停電後の作業がスムーズです。大切なデータはバックアップをとっておくと良いでしょう。
3-2-2. 【法定停電時】機器のシャットダウンなどをする
- 機器のシャットダウン
- ACアダプタを電源から取り外す
- (必要な場合は)立ち会い
また復旧時のトラブルを避けるため、ACアダプターを電源から取り外しておくのも良いでしょう。アダプターを取り外した機器もリストにしておくと復旧時に対応しやすいです。
3-2-3. 【法定停電後】機器が正常に稼働するかを確かめる
停電後は機器を立ち上げ、正常に使えるかどうかの確認を行います。事前対策で作成したマニュアルを元に、電源アダプターを差し込み手動でシャットダウンした全ての機器を立ち上げ、必要に応じて試運転をします。
4. 法定点検後の改修が大切!

法定点検を行うと、報告書が作成されます。事業者等の責任者は報告書を確認し、必要に応じて改修計画を立て、電気設備を安全に使い続けられるよう努めましょう。具体的に、どのように報告されるのかご紹介します。
4-1. 点検後の指摘・指導事項とは
- 指摘事項……法律の定めに則っていないもの
- 指導事項……法令違反ではないが、そのまま使用すると事故の危険があるもの
4-2. 指摘・指導されたら、早急に対処しよう
報告書の指摘や指導事項は、強制的に修理や交換を執行させるものではありませんが、なるべく早く対処することをおすすめします。
実際に、点検により、事故を未然に防ぐことができた事例もあります。
過去には、法定停電によって年次点検を行ったところ、異音が発生しており、ブレーカーが高温になっていることが確認できたことがありました。原因はブレーカー内部の接触不良でした。
ブレーカーを入れ直すと異音と発熱はなくなったため、専門業者が仮復旧をし、ブレーカーの交換を提案しました。
もし気づかずに使い続けていたら、温度が上がり続けて火災につながったり、ブレーカーの接触不良による予期せぬ停電が起きていたりした可能性もあります。
5. まとめ

電気は私たちの日常に欠かせないもので生活を便利にしますが、正しく使用しないと火事などの事故につながります。そのため、電気設備には点検が義務付けられています。
定期的な点検は月次、年次などがありますが、年に1度は停電して機器内部の状態や漏電についても調べることが法律で定められています。24時間体制で動いている機器も止める必要があるので、電力復旧後にトラブルにならないよう、事前の準備が大切です。
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