蛍光灯のLED化は自分でしたい?危険性を理解して安全に交換
オフィスや商業施設で蛍光灯をLEDに交換する際、導入費用や照明環境の変化などが心配ですか?この記事では自分で蛍光灯とLEDを交換できるケースを紹介。また、電気工事業者に依頼する際のポイントや導入をスムーズに進めるための、稟議書に使える蛍光灯とLEDの比較・メリット、デメリットをご紹介します。
1| 蛍光灯からLED照明への交換は自分でどこまでできるのか?
オフィスや商業施設でLEDを導入するにあたって心配になるのが「工事が必要なのかどうか」です。自分で交換できる工事不要のケースもあれば、工事が必須の場合もあります。どのようなケースが当てはまるのか、チェックしてみましょう。
1-1| シーリングライトは工事が不要
シーリングライトは、交換用のLEDのライトを取り付けるだけで良いので簡単に交換することができます。
天井に設置されている丸型や角型の配線器具(電源ソケット、プラグ)を引っ掛けシーリング・ローゼットと言います。
引掛シーリングとは、プラグを差し込み時計回りに回すだけで取り付け完了する配線器具です。引掛埋込ローゼットは、ネジで取り付けられる金属のツメがついています。
天井なので、作業の際は高所で上を向いて作業することになります。足元をしっかり固定して作業しましょう。
1-2| 電球の交換のみなら工事が不要
白熱電球をLED電球に交換するだけなら、電球を入れ替えるだけの簡単な作業となり、自分での交換が可能です。
交換電球の本体の大きさや形状、長さや照明器具のサイズをきちんと測って準備しましょう。
特に、電球の根元の金属部分の口金のサイズが一致しないと照明として使えなくなります。
1-2-1 | 電球型の口金の選び方
2| 自分で交換する際に注意するポイント
技術が進歩してきて、メーカーによっては既設の照明器具と交換するだけの商品も増えてきました。工事費もかからずとても魅力的ですが、交換する前に下記の点を確認しておきましょう。また、ランプ以外の照明器具本体やそこに使用されている部品も劣化していくことを理解しておくことが重要です。
2-1| 直管形LEDランプの注意点
直管蛍光灯器具はオフィスビル、商業施設、学校、病院などでよく使用されているものです。LED照明にも直管蛍光灯形状のものがあります。直管蛍光灯器具は点灯方式により、工事が必要なものと不要なものがあります。
また、寿命が短くなったり・発熱発火の可能性も出てきます。
・インバーター式
最初に安定器を外す直結工事をする必要があります。安全・安心で長期間使用することができます。
2-2| 円形、丸形、環形ランプの注意点
既存の蛍光灯照明器具を利用して、円形(丸形、環形)蛍光ランプをLED光源の蛍光ランプに交換する場合は、次の事に注意しましょう。
2-3| ダウンライトの注意点
天井に埋め込むタイプの照明をダウンライトといいます。ダウンライトには大きく分けて、「交換型」と「一体型」があります。
こちらは、配線作業が必要になるので、電気工事の専門家にお願いすることになります。
2-4| 照明器具の設置年数に注意
これまで何度か触れたように、照明器具にも寿命があります。安全に使用できることが保証されている使用期間は10年です。使用期間が15年以上にもなると、耐用限度を超えてしまうので、問題なく点灯しているように見えても、照明器具を構成する部品の劣化は確実に進んでいます。
蛍光灯からの乗り換え時に既設の照明器具本体を利用する場合は、使用年数を考慮して交換する方法を検討すると良いでしょう。
ちなみにLEDは長寿命なので、寿命が来ると照明器具本体も劣化が進んでおり、器具を丸ごと交換することがほとんどです。
3| 蛍光灯からLED照明へ交換する時に工事が必要なケース
蛍光灯からLED照明に交換する場合は、工事が必須となるケースもあり、正確な判断には専門知識が必要です。間違った対応をすると火災など事故の原因になる可能性もあるので、次のようなケースやそれに限らず不安なことがある場合は、専門家への相談をおすすめします。
3-1| 安定器を外す場合は工事が必要
蛍光灯器具に取り付けられて(配線されて)いる安定器とは、電流や電圧を制御し蛍光灯が安全に使えるようにする機器です。しかしLED照明には安定器は必要ありません。そのため、安定器を使用せずLEDを使えるように、安定器への電力供給を断つバイパス工事を行います。配線工事になるため、電気工事士の資格をもつ人のみが行うことができます。
賃貸などの工事ができない状況を除いては、バイパス工事を実施するのが一般的です。
3-2| 取り付け位置の変更が必要な場合は工事が必要
蛍光灯とLED照明の接続方法などが同じ場合でも、形状が違うと、取り付け位置を変更しなければならない場合があります。例えば、天井に埋め込んである蛍光灯をLED照明に交換する場合、天井の一部を切り取って、取り付け位置の調整が必要になることがあります。
3-3| 高所のLED交換は危険!専門家に依頼しましょう
店舗内やオフィスの蛍光灯のLED化を進めているところは多くあるのですが、駐車場の街路灯(水銀灯)や看板のスポットライト(白熱電球、ハロゲンランプ)などの交換を忘れがちなケースが少なくありません。交換を忘れがちな場所は天井高のある施設や高所が多く、駐車場、倉庫の軒下、荷捌所、倉庫、工場、各種作業所などがあります。
特に、敷地内駐車場、街路、公園、グラウンドなどで利用されている水銀灯は、水銀に関する水俣条約により2020年以降の製造および輸出入が禁止になりました。既存の在庫の継続使用は可能ですが、これらをLED照明に交換することで、電力料金やメンテナンスのコスト削減につながります。また水銀に比べて明るさが増すことで視認性が良くなり、安全性も高まります。さらに、水銀に比べて虫が集まる紫外線や赤外線の放出が少ないため、虫が寄ってくることもありませんし、大切な文書や什器、電気設備などの劣化から守ることができます。
高所の作業は危険で、照明器具も大きいため自分で交換することは危険を伴います。専門家に依頼しましょう。
4| 稟議所に取り入れるべき蛍光灯とLEDの比較とメリット・デメリット
蛍光灯からLEDに交換するメリットは多くあります。それぞれの項目ごとに蛍光灯とLEDの違いを比較しました。照明器具設置環境に合わせてメリットとデメリットを押さえ、スムーズに稟議が通るような情報を押さえ活用しましょう。
4-1| 蛍光灯とLEDの節電効果やランニングコストの削減効果を比較
蛍光灯をLEDに交換するメリットとしてよく知られているのが節電効果やランニングコストの削減です。
今使っている蛍光灯と同程度の明るさのLEDに交換することで電気代は3分の1になります。これは、消費電力の差によるもので、同じ明るさを得るために使う電力がLEDは蛍光灯の3分の1で済むためです。
またLEDの方が寿命が3倍長いので、交換にかかるコストを下げることができます。蛍光灯とLEDの寿命は、以下の通りです。
● LED……40,000時間(24時間つけっぱなしにした場合、5年)
交換と同時に消費電力が3分の1となるのはかなりのメリットではないでしょうか。
4-2| 蛍光灯とLEDの「環境への配慮」について比較
LEDランプは蛍光灯などに含まれる水銀や鉛などを使っていません。そのため、蛍光灯や白熱電球に比べてLEDは環境に優しい製品で、廃棄処理がしやすいです。また、少ない消費電力量でも明るく照らすことができるので、二酸化炭素の排出量の削減効果があります。さらに、LEDは蛍光灯と比べて寿命が長いため、交換頻度も低く、総合的なごみの削減にもつながります。LED化を始めることでSDGsへの取り組みにも貢献しますので、ポイントが高いメリットとなります。
尚、蛍光灯・安定器の製造と輸出入は「水銀汚染防止法」により2027年末までに段階的に禁止となることが決定し、各メーカーより在庫価格の高騰についてアナウンスされています。在庫がある分だけになってしまうので、将来的には蛍光灯は交換ができなくなります。期限が迫るころには、LED化を遅らせてきた企業が一気にLED導入を行うことが予想され、導入したいときに導入ができない…、LEDの在庫切れ…、導入費用がさらに高額に…となる可能性も否定できません。
4-3| 蛍光灯とLEDの「照明効果や色温度」の違い
ランプには、「明るさ」や「色」にさまざまな種類があります。
LEDの技術は進化し続け、最近は蛍光灯にない明るさや色を調整できる機能があります。
一方で、蛍光灯では明るさを調整できないため、それぞれの雰囲気にあったものを用意し使い分けることで、雰囲気の差を作ります。
LED照明なら明るさも色も変えられるので、時間帯や好み、目的に合わせて瞬時に店舗やオフィスの雰囲気を変えることも可能です。 蛍光灯も明るさも色もラインナップがありますが、それぞれの照明器具が必要になるので、その分導入の費用が掛かることになります。
蛍光灯からLEDへの交換をスムーズに行うためには、事前に確認すべきことがあります。設置場所や照明の使用シーンに合わせて考えたり、現在使用中の蛍光灯や照明器具を見て確認することもあるので、時間に余裕をもって行いましょう。
調光や調色ができるメリットは、1つの照明で何通りもの色や明るさを表現できる点です。例えば飲食店などでは、昼間は太陽光のような爽やかで明るい雰囲気に、夜は暗めで落ち着きのあるオレンジ色の光を使いたい場合があります。
4-3-1 | ライトの明るさの決め方
4.5畳 … | 2,200lm〜3,200lm未満 |
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6畳 … | 2,700lm〜3,700lm未満 |
8畳 … | 3,300lm〜4,300lm未満 |
10畳 … | 3,900lm〜4,900lm未満 |
12畳 … | 4,500lm〜5,500lm未満 |
14畳 … | 5,100lm〜6,100lm |
4-3-2 | 色温度の選び方
電球色 | 電球のようなオレンジに近い色 |
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温白色 | 夕方の日光に近い黄色 |
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白色 | 満月のような白色 |
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昼白色 | 午前中の日光に近い、自然な白色 |
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昼光色 | 晴れた日の正午の日光に近い、青白い色 |
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4-4| 照明器具ごと交換とランプだけの交換なら、どっち?
●LEDランプ種別選択の間違い
●器具(ソケット)の絶縁性能不足
●取付方法の間違い
●ランプの質量超過
5| 蛍光灯からLEDへ交換する進め方
2)照明器具を丸ごと取り替える
バイパス工事の場合は、安定器に電気が通らないようにする配線工事を行います。蛍光灯を外し、現在使用している配線を切ってつなぎ直してからLED照明を取り付けます。
照明器具を丸ごと取り替える場合は、現在天井に取り付けている器具を外し、新しい器具に合わせて天井の加工や配線を行い設置します。
6| 電気工事のプロへ依頼する場合に押さえておくこと
電気工事業者へLED照明の交換をお願いすることになった場合、どのような点を押さえて依頼するのが良いのでしょうか。
ここでは、安心してお願いできる電気工事業者の選び方や考え方などを説明していきます。
6-1| 電気工事のプロへ依頼する場合に押さえておくこと
工事の必要性や工事なしで使用できるLED照明の選定には専門的な知識が必要となるため、プロに依頼するのが安全です。しかし気になるのは、コストではないでしょうか。
バイパス工事の費用相場は、LED照明の本体代と作業費を合わせて、1箇所あたり3,000円〜です。LED本体の価格によって費用は変動します。
他にも、器具の配置を変えたり設置数を増減したりすることで配線工事が必要になります。規模によっても費用が変わってきます。
6-2| LED交換の工事業者選定ポイント
蛍光灯からLEDに交換する際の工事業者の選び方のポイントをご紹介します。
- 電気工事士の資格がある
- LED工事の実績がある
- 見積もりの内容に納得できる
- 損害補償に加入している
知識や経験が豊富で、LED工事の実績がある工事業者を選びましょう。ホームページに実績を掲載している場合もありますし、電話等で問い合わせて知ることもできます。
蛍光灯のLED交換工事では、配線作業を行いますので、電気工事士の資格が必要です。電気工事の資格を持っていることは大前提ですが、知識や経験が豊富で、LED工事の実績がある工事業者を選びましょう。ホームページに実績を掲載している場合もありますし、電話等で問い合わせて知ることもできます。
見積もりは全体の金額だけでなく明細も確認し、内容に納得できる業者に依頼しましょう。交換の箇所や個数があいまいだったり、実際に工事をしてみないと金額がわからない場合は、トラブルにつながる可能性があります。複数業者の相見積もりをとって比較をするのもおすすめです。
また業者が損害保険に加入していない場合、万が一工事中に建物や設備を破損した際に補償されず、トラブルになる可能性があります。細かいところまで確認し、信頼できる業者にLED交換を依頼しましょう。
6-3| LED交換後も長くお得に使っていくために大切なメンテナンス
蛍光灯からLEDに交換したあとも適切に使い続けるために、メンテナンスは欠かせません。トータルソリューションでは、LED照明の維持やメンテナンスのほか、最適な製品の提案などにも対応しています。LED導入による省エネ試算、明るさや色味による空間演出なども対応しているので短期間で理想に近い照明の選定も可能です。
また、複数業者と契約していると、トラブルの内容によって依頼先が異なる場合もありますが、トータルソリューションなら窓口の一本化も可能です。さまざまな電気トラブルへの対応や設備改修の相談から、空調やネットワーク、防災や給排水の設備に関することまで、幅広く対応しています。お困りごとは、トータルソリューションにご相談ください。
7| 蛍光灯からLEDに交換した後のLED交換について
LEDが長寿命といっても交換する時期はいつかやってきます。
早期にLEDを導入している企業でも、そろそろ交換を考える時期になっているかもしれません。使用環境にもよりますが、LEDの寿命が40,000時間と考えると、一般的な店舗で1日12時間使用したとして8年〜9年経つ頃が交換を考える時期です。
これまでもご説明したとおり、引っ掛けシーリングタイプや簡易型ダクトレールならば自分で交換ができます。ただし、オフィスや商業施設など企業でのLED照明の使用数は一般的に多く、すべて交換するのは大変ですし、手が届かないような高所の場合は転落の危険が伴うので、電気業者にお願いすることが得策でしょう。
また照明器具の中には、ランプだけ交換できるものと、そうでないものがあります。前者は自分で交換できる場合がありますが、後者の場合は、照明器具とLEDランプが一体となっている機種のためにLED照明器具ごと交換する必要のあるものがありますので専門業者に依頼をしなければなりません。
ランプだけ交換できる仕様の照明器具も、照明器具本体が劣化している場合が考えられます。中には、安く工事費用を済ませるために昔から使っている照明器具本体を使用をしている場合もあるかもしれません。耐用年数の事を考えると、照明設置から10年近くになる場合は電気業者に調査・交換してもらうことが安全につながります。
LED設置当時の施工業者ではなくても調査・交換対応が可能ですので、お気軽に総合メンテナンスのトータルソリューションへ一度ご相談ください。
8| まとめ
蛍光灯をLEDに交換すると、省エネや電気代の節約になるだけでなく、明るさや色による空間演出などのメリットがあり、多くの施設で導入が進んでいます。
蛍光灯をLED照明に交換する際には、工事が必要になる場合もあります。工事が必要かどうか、工事せずに設置できるLED照明なのかの判断は専門的な知識が必要なこともあるので、一度プロに相談してみましょう。
トータルソリューションなら、工事に関することだけでなく、省エネ試算や最適な製品の提案、交換後の点検・メンテナンスなども対応しています。全国どこでも対応していますのでお気軽にご相談ください。
トータルソリューションでは、照明器具交換・安定器交換をはじめ漏電調査・修理などのトラブル駆けつけメンテナンスを24時間365日受け付けています。また、LED照明新規取付・交換工事、高圧受変電設備工事などの電気設備改修まで幅広く対応しております。オフィスや店舗環境を良くし、業務効率売り上げ向上のために電気設備の改善が必要な場合は、トータルソリューションにご相談ください。トータル的に長い目で問題解決を図ります。
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