業務用エアコンの掃除は自分でできる?頻度やメリット、業者依頼のすすめ
公開日:2025年10月6日
業務用エアコンをそろそろ掃除したいと思っている方にとっては、「自分で掃除できるのか、業者に依頼した方がよいのか」が気になるところでしょう。
業務用エアコンの掃除は誰でもある程度はできますが、掃除可能な箇所は限られてしまいます。そのため、自分だけで対応できないところについては、業者に依頼する必要があります。
この記事では、業務用エアコンを自分で掃除できる箇所や掃除方法、掃除する頻度、業者にエアコンの徹底掃除を依頼するメリット、業者依頼におすすめの時期などをご紹介します。
1| 業務用エアコンは自分でも掃除できる?
「業務用エアコンをしばらく掃除していないから、そろそろ掃除したい」と考える方は少なくないでしょう。「まずは、自分たちでやってみよう」という企業も多いかと思います。
結論から先にお伝えしますが、業務用エアコンは誰でもある程度は掃除できます。しかし、掃除可能な箇所は限定的です。
まずは、対応可能な箇所や掃除方法、自分で掃除するときの注意点をご紹介します。
1-1| フィルターや本体・室外機の外側は掃除できる
自分で掃除できる箇所は、フィルターやエアコン本体・室外機の外側です。
このあと掃除手順についてご紹介しますが、基本的にフィルターは「洗って乾かす」、本体外側などは「拭き掃除する」、室外機は「掃いて、拭く」という形になります。
1-1-1| フィルター掃除の方法
フィルター掃除する際に、まずは業務用エアコンのタイプを確認します。主なタイプは、以下の通りです。
- 天井埋め込みカセット型:本体は天井内に埋め込まれ、化粧パネルだけが天井面から見えるエアコン
- 天井埋め込みダクト型:本体は天井内に埋め込まれ、吸込口・吹出口だけが天井面から見えるエアコン
- 天井吊型:本体を天井に埋め込まず、天井面や壁面に露出設置されているエアコン
- 壁掛け型:壁に設置するタイプで、一般家庭でも使われているエアコン
- 床置き型:床に置いて使うタイプのエアコン
エアコンのタイプによってフィルターの取り外し方法が変わってきますので、取扱説明書を必ずご確認ください。その上で、以下の手順でフィルターを掃除します。
手順 | 作業 | 概要 |
---|---|---|
1 | 電源をオフ |
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2 | フィルターを取り外す |
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3 | フィルターのホコリを除去する |
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4 | フィルターを水洗いする |
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5 | フィルターをしっかり乾かす |
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6 | フィルターを取り付ける |
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1-1-2| 本体外側の掃除方法
エアコンの本体やパネル、吹き出し口、ルーバー(冷暖房の風向きを調整するための羽根状の部品)など、外から見えるところは拭き掃除が可能です。
上の掃除手順5「フィルターをしっかり乾かす」でフィルターが完全に乾燥するのを待っている間に、本体外側などを拭き掃除すると効率がよいでしょう。
基本的には、濡らした布で優しく拭き、汚れを落とすだけで十分です。汚れがなかなか落ちにくい場合には、水で薄めた中性洗剤を布に含ませて汚れを拭きとります。汚れが落ちたら、乾いた布で水気を拭き取りましょう。
1-1-3| 室外機外側の掃除方法
室外機の外側も自分で掃除できます。手順は、以下の通りです。
掃除手順
- 室内機の電源をオフにする
- 機器外側の大きなホコリ・ゴミなどをほうきで掃く
- 水で薄めた中性洗剤を布に含ませて、機器外側を優しく拭く
- 室外機正面にある網目状のカバーの隙間にゴミがたまっている場合には、古い歯ブラシでかき出した上で、掃除機で吸い取る
- 室外機周辺にあるゴミをほうきで掃く
なお、室外機周辺は風通しを良くしておくことが重要です。周りに物を置かないよう、日頃から意識してください。
1-2| 自分で掃除するときの注意点
業務用エアコンを自分で掃除するときには、以下のようなことに注意してください。
自分で掃除するときの注意点
- 感電防止のため、電源をオフにしてから作業を始める
- 安全確保のため、「高所での作業は脚立をしっかり設置してから行う」「2名以上で作業する」といった対策を実施する
- 破損防止のため、取扱説明書の記載に従って、フィルターの取り外し・取り付けをする
- 感電・故障を防止するため、フィルターを取り外す以上の分解掃除は行わない(それ以上の分解掃除は、業者に依頼する)
- 感電・故障・破損を防止するため、熱交換器(薄いアルミ板でできた部品で温度の高い方から低い方へと熱を移動させるもの、エアコンの前面パネルとフィルターを取り外した奥にある)などの電気系統には直接手を触れない
- 機器の破損・変形やガス漏れ、熱交換効率の低下などの原因となるため、室外機やエアコンの熱交換器を掃除する際は、市販のスプレーを使ったり、自分で高圧洗浄機などを使ったりしようとせず、業者に依頼する
- 故障・破損防止のため、「鋭利なものを使って掃除しない」「フィルターを含むエアコンパーツには優しく触れ、勢いよく引っ張ったりせず、ゆっくりと丁寧に扱う」といった対策を実施する
- エアコン機器のツメ(エアコンの前面パネルと本体、フィルターと周辺部品などを固定する突起部分のこと)に無理な力をかけてしまうと壊れやすいため、パネルを開け閉めする際やフィルターを取り外す際などは、ツメを折らないように慎重に作業する(ツメが割れるとパネルが閉まらなくなってしまう、パネル交換には数万円の修理費がかかる)
- フィルターの変形・変色を防止するため、熱湯ではなく、必ずぬるま湯を使って洗い流す
- フィルターの痛みを防止するため、フィルターを乾かす際は天日干ししたり、ドライヤーを使ったりしない
- カビの発生を防止するため、洗ったフィルターは水気が完全になくなるまで、確実に乾燥させる
感電や機器の破損・故障などを防止するため、これらの注意事項を必ず守りましょう。
2| 業務用エアコン掃除の実施頻度の目安
使用状況によって、業務用エアコンの掃除頻度は変わってくるものの、1カ月~2カ月に1回くらいの頻度でフィルター掃除をするのが望ましいです。エアコン本体の外側も、同じタイミングで実施するとよいでしょう。なお、路面店はホコリを吸いやすいため、毎月1回の掃除をおすすめします。
室外機の掃除頻度は、年に2回が目安とされています。掃除のタイミングは、冷暖房を使い始める前が望ましいです。地域によって多少差はあるものの、冷房を使い始める前の「5月~6月」と暖房を使い始める前の「10月~11月」に実施するとよいでしょう。
とはいえ、「まとまった時間を確保するのが難しく、実施できるタイミングがなかなかない」「一度も掃除したことがないので何時間くらいかかるかわからず、計画を立てられない」というケースもあるでしょう。そうした場合には、年末の大掃除の際に実施するのも一つの手です。大掃除の一環として業務用エアコンを一度掃除してみることで、掃除方法を習得でき、次回実施に向けたハードルが低くなるでしょう。
2-1| 飲食店は、より頻繁な実施を
飲食店では日常的に油を使って調理するため、オフィスなどと比べるとどうしても業務用エアコンに汚れ・臭いが付きやすいです。そのため、上でご紹介したよりも頻繁にフィルター掃除をする必要があります。
フィルター掃除の望ましい頻度は、以下の通りです。
飲食店のカテゴリー | フィルター掃除の望ましい頻度 |
---|---|
カフェ、ベーカリー | 月に1回 |
居酒屋 | 月に2回 |
焼肉屋、中華料理店、鉄板焼き | 週に1回 |
飲食店のカテゴリーによって望ましい掃除頻度が異なるのは、油を使用する量に差があるためです。油の使用量が多い飲食店では、月に複数回、フィルターを掃除することをおすすめします。
3| 業務用エアコンを掃除しないとどうなる?
適切な頻度で業務用エアコンを掃除しないと、以下のようなリスクがあります。
業務用エアコンを掃除しないリスク | 解説 |
---|---|
①従業員の作業効率低下やお客様からのクレーム・お客様離れにつながる |
|
②電気代が高くなる |
|
③計画外の出費が発生する可能性がある |
|
つまり、業務用エアコンを掃除しないと、企業のキャッシュフローが圧迫され、経済的負担が増える可能性があります。日常業務や企業経営などに悪影響が及ばないよう、業務用エアコンを定期的に掃除しましょう。
4| 業務用エアコン掃除のメリット
業務用エアコンを掃除すれば、上で紹介した「業務用エアコンを掃除しないリスク」を避けられます。それだけでなく、副次的な効果も期待できます。
例えば、カビ・雑菌の除去により悪臭が解消されることで、従業員の作業効率・生産性が向上したり、お客様のリピート率が高まったりするでしょう。その結果、業績の改善につながります。
掃除以前よりも電気代を抑えられるようになることも、大きなメリットです。月単位で見るとわずかな違いかもしれませんが、年単位で見ると数万円安くなることも少なくありません。
こうしたメリットを享受するためにも、業務用エアコンの掃除は重要です。<関連記事を挿入>
5| エアコンを徹底的に掃除したいなら、業者に依頼を
業務用エアコンの掃除を業者に依頼すると、「ドレン清掃」や「分解洗浄」をしてもらえます。
- ドレン清掃:エアコン室内機で発生した結露水を外に排出するための「ドレンホース」や、結露水による水漏れを防ぐための受け皿である「ドレンパン」に蓄積したホコリやカビ、汚れを除去する清掃作業
- 分解洗浄:エアコンを取り付けたまま、エアコン前面・本体のカバー、ルーバー、フィルターを取り外して、内部の熱交換器や送風ファンを高圧洗浄機で洗浄する清掃作業
このような徹底的な洗浄をしてもらわないと、雑菌によって発生するスライムが詰まり、排水ポンプやセンサーが故障する原因となることもあります。
この他、業者によっては、エアコン本体を天井や壁から取り外してばらばらに分解して各部品の隅々まで洗浄する「完全分解洗浄」をしているところもあるようです。
破損や故障のリスクが高くて自分では掃除できないところ(熱交換器の奥や電気基盤・電気部品など)まで対応してもらえるので、業務用エアコンを徹底的に掃除したい場合には、知識・経験豊富な業者への依頼を検討しましょう。
なお、使用環境にもよりますが、業者による徹底洗浄は「2年に1回程度」が目安です。ただし、飲食店や商業施設、病院、福祉施設など利用者が多く清潔さが求められるところでは、「年に1回」は業者に作業を依頼することをおすすめします。
5-1| 業者に依頼するメリット
「自分ではできないところまで、徹底的に掃除してもらえる」ということが、業務用エアコンの掃除を業者に依頼する一番のメリットですが、その他に以下のようなメリットもあります。
業者依頼のメリット
- 自分で掃除した場合に起こりえるミス(フィルターの取り外し・取り付け方法の誤り、ツメへの過度な負荷、フィルターの不十分な乾燥など)やそれに伴う故障・機器(ツメ、羽根など)の破損、カビの発生を心配する必要がない
- 自分では少し怖かったり、対応しづらかったりする高所での作業を安心して任せられる
- 業務用エアコン周辺や分解洗浄時に部品を置く場所を大きなシートなどでしっかり養生してもらえるので、業者が帰ったあとに周辺の掃き・拭き掃除をすることなく、すぐ業務に戻れる
- エアコンのカビやフィルターの目詰まりなどがなくなるため、臭いの解消や冷暖房効率の改善、電気代の節約などが期待できる
- 併せて点検も依頼すれば、自分では気づかなかった業務用エアコンの不具合(部品の破損や水漏れなど)を発見してもらえた際に、その場で修理依頼の相談もできる
「どのくらいの節電が期待できるのか」を知りたい方もいるでしょう。当社顧客の某居酒屋チェーン店で分解洗浄前と分解洗浄後の電気使用量を計測したところ、分解洗浄後には約10%の節電となったことが確認できました。
さまざまなメリットが期待できるため、「最近、エアコンが臭いような気がする」「エアコンの利きをもっとよくしたい」といったお悩みを抱えている場合には、すぐに業者に依頼しましょう。
5-2| おすすめの時期
業務用エアコンの掃除を業者に依頼するのにおすすめの時期は、冷房運転を終える頃です。一番電気代がかかるのは「暖房運転」のため、暖房運転を始める前にエアコンを徹底的に掃除してもらいましょう。
具体的な時期については、地域によって多少違いはあるかと思いますが、秋を迎える「9月・10月頃」がおすすめです。また、飲食店の場合には、夏になる前の「3月・4月頃」にも対応してもらうとよいでしょう。
こうした時期に業務用エアコンを徹底的に掃除してもらっておけば、エアコンの稼働を再開するときにきれいな状態で使うことができます。
また、業者にもよるものの、この時期は比較的予約が取りやすいので、その意味でもおすすめです。
5-2-1| 季節営業の店舗では、期間の終了後に対応してもらおう
ビアガーデンやスキー場のレストラン、避暑地のお土産屋さんなど季節営業の店舗の場合には、季節営業を終えたタイミングで業者に業務用エアコンの掃除を依頼することをおすすめします。
気温や集客状況によって季節営業期間が年ごとに多少変わる場合、業者への依頼忘れに注意しましょう。うっかり依頼し忘れないよう、その年の季節営業期間を決定したら、カレンダーなどに業務用エアコンの掃除依頼予定を書いておくとよいですね。
また、可能であれば、季節営業を開始する前にもエアコン掃除を依頼しましょう。併せて、エアコンの点検もしてもらえば、より安心してエアコンを使用できます。
5-3| 業者選びのポイント
業者を選ぶ際には、まずは複数社から相見積もりを取って料金を比較します。ただし、料金の安さだけで選んでしまうと、「サービス内容やスタッフの態度などに課題がある」と感じるケースもあるかもしれません。料金は業者選びのポイントの一つではありますが、それだけでは選ばないようにしましょう。
具体的には、「十分な実績があるか」「利用者からの評判がよいか」「アフターサービスがしっかりしているか」「営業担当の受け答えに問題がないか」などを確認することをおすすめします。また、エアコン掃除の際に不具合が見つかって修理が必要となるケースもあるため、必ず「修理までできる業者」を選びましょう。業者によっては鍵の預かりに対応しているところもあるので、スケジュール調整をご希望の場合には「鍵の預かり可能」な業者かどうかも確認ポイントとなります。
これらを総合的に評価した上で、信頼できる業者に作業を依頼することが重要です。
6| 業務用エアコン掃除の料金相場と安くするコツ
最後に、業務用エアコン掃除を業者に依頼する際の料金相場と安くするコツをご紹介します。
6-1| 料金相場
料金相場は、業務用エアコンのタイプによって変動します。業者やサービス内容によっても、金額に幅があります。また、設置環境が作業困難な場所だったり、高所だったりした場合には料金が高くなりがちです。
あくまで目安ではありますが、料金相場は以下のようになっています。
業務用エアコンのタイプ | 料金相場(1台あたり) |
---|---|
天井埋め込みカセット型 | 25,000円~40,000円くらい |
天井埋め込みダクト型 | 25,000円~40,000円くらい |
天井吊型 | 20,000円~30,000円くらい |
壁掛け型 | 17,000円~20,000円くらい |
床置き型 | 17,000円~35,000円くらい |
なお、室外機クリーニングの料金相場は、1台あたり5,000円~10,000円くらいです。
6-2| 安くするコツ
料金を安くするコツとしてご紹介したいのが、「複数台まとめての依頼」と「繁忙期を避けての依頼」です。
業者によっては、「2台以上であれば、3000円引き」「3台目以降は、5%オフ」といった料金体系を用意しています。また、こうした料金体系がないところでも、複数台まとめての依頼であれば交渉次第で値引きしてもらえる可能性があります。
繁忙期を避けた方がよい理由としては、「6月から8月は、通常時より10,000円アップ」といった繁忙期料金を設定している業者があるためです。時期を選んで依頼することで、繁忙期料金を払わないで済みます。
7| 自分ではできない業務用エアコンの徹底的な掃除は、業者に依頼しよう
業務用エアコンを自分で掃除できる箇所は、フィルターやエアコン本体・室外機の外側のみです。実際に掃除する際は、ご紹介した手順で、注意点も意識しながら作業を進めましょう。フィルター掃除の頻度は1カ月~2カ月に1回が望ましいですが、飲食店ではより頻繁に実施する必要があります。
とはいえ、自分で掃除できる箇所は限られているため、業務用エアコンを隅々まで掃除したい場合には、実績のある業者に依頼しましょう。業者に依頼すれば、細部まで徹底掃除してもらえるので、清潔な状態でエアコンを稼働できるようになります。併せて、点検もお願いすれば、より安心してエアコンを使用できます。時期については、一般的なオフィスなどでは冷房運転を終える頃、飲食店の場合には夏を迎える前にも依頼するのがおすすめです。
点検を怠り、業務用エアコンが故障すると、さまざまなリスクが懸念されます。例えば、飲食店で夏場に故障した場合、客足が遠のいて営業損失となったり、SNSでの風評被害(「あのお店は暑すぎるから、行く価値がない」「お店の暑さで、料理が痛んでいそう」など)が広がる可能性があります。また、病院や高齢者施設など命を預かる業種では、業務用エアコンの故障は季節に関係なく大問題(利用者の体調悪化に直結し、命に関わる)となります。
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