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キュービクルの耐用年数は?本体・機器の年数や長寿命化のポイントなど

公開日:2025年11月04日

キュービクルの耐用年数は?本体・機器の年数や長寿命化のポイントなど

電気設備には「どのくらいの期間使えるのか」の目安である耐用年数が決められていますが、工場やビルなどに設置されている「キュービクル」にも耐用年数があります。

キュービクルとは、電力会社から供給される高圧電力(6,600V)を受電し、建物内で使用できる電圧(100V・200V)に変換し、配電するための電気設備のことです。

キュービクル本体(上述の電気設備一式)と内部の主要機器(キュービクルを構成する電気機器)の耐用年数は何年なのでしょうか。長く使い続けるために何をすべきかも気になるところです。

この記事では、キュービクル本体・主要機器の耐用年数や交換時期の決め方、長寿命化のポイントなどをわかりやすくご紹介します。キュービクルを安全に使い続けるための点検の重要性についても紹介していますので、あわせて参考にしてください。

1| キュービクル本体の耐用年数は何年?

キュービクル本体の耐用年数は何年?

この記事を読んでいる方が一番知りたいのはキュービクルの耐用年数かと思いますが、実はキュービクルを始めとする電気設備の耐用年数は1つだけではないことをご存知でしょうか。耐用年数には、「法定耐用年数」と「実用耐用年数」の2つがあります

  • 法定耐用年数:税務上の減価償却期間のこと。設備の種類・用途によって、国税庁が法定耐用年数を定めている。
  • 実用耐用年数:実際に設備が機能し、安全に利用できるとされる期間のこと。設備の種類ごとに、電気設備のメーカーが実用耐用年数を定めている。


一般的に、「法定耐用年数」は、実際の耐用年数(実用耐用年数)より短めに設定されています。また、現在お使いの電気設備が実際に何年使えるかは使用状況や設置環境などによって左右されるため、実用耐用年数を過ぎても使えるケースもあります。なお、定期的にメンテナンスを行うことで、より長い期間使い続けられるようになります。

法定耐用年数と実用耐用年数についてわかったところで、キュービクル本体の耐用年数をご紹介します。

1-1| 法定耐用年数は15年

キュービクル本体の法定耐用年数は、法的に「15年」と定められています。ただし、法定耐用年数は実用耐用年数より短めのため、法定耐用年数を超えたからといってただちにキュービクル本体が使えなくなることはまずありません。

1-2| 実用耐用年数は20年程度

キュービクル本体の実用耐用年数は、メーカーによって多少(数年)の差はあるものの、「20年程度」が一般的です。後ほど詳しくご紹介しますが、「実用耐用年数を超過しているか=使用開始から20年程度経っているか」が、キュービクルの交換時期を考える際の目安の一つとなります。

2| キュービクル内部の主要機器の実用耐用年数

キュービクル内部の主要機器の実用耐用年数

キュービクル本体の耐用年数についてお伝えしましたが、実はキュービクル内の電気機器にもそれぞれ耐用年数があります。実際に使える期間の目安となるのは実用耐用年数であるため、ここではキュービクル内部の主要機器の実用耐用年数を一覧でご紹介します。

2-1| 【一覧】機器ごとの実用耐用年数

キュービクルを構成する電子機器ごとの実用耐用年数は、以下の通りです。

機器 実用耐用年数
  • 断路器
  • 高圧交流遮断器
  • 高圧配電用変圧器
20年
  • 避雷器
  • 計器用変成器
  • 保護継電器
  • 高圧電流電磁接触器
  • 高圧進相コンデンサ、直列リアクトル、放電コイル
  • フィルターのホコリを掃除機で吸い取る
  • 表面→裏面の順で掃除機をかける
15年
  • 高圧交流負荷開閉器
  • 高圧限流ヒューズ
(いずれも)
屋内用:15年
屋外用:10年

このように、キュービクル内部機器の実用耐用年数は最短10年から最長20年まで幅があります。

3| キュービクルの交換時期の決め方

キュービクルの交換時期の決め方

先述の通り、実用耐用年数がキュービクル交換時期を決める際の目安の一つとなります。

しかし、実際に現在お使いのキュービクルを何年使えるかは、使用状況や設置環境などに大いに左右されます。実用耐用年数を超えても問題なく使用できるケースもあれば、実用耐用年数を迎える前に使用できなくなるケースもあります。

そのため、実用耐用年数を一つの目安としつつも、専門業者による点検結果や故障状況など踏まえて、キュービクルの交換時期を総合的に判断することが重要です。「性能が低下していると、業者から指摘を受けた」「キュービクルの故障が増え、頻繁に業者を呼ぶようになった」といった場合には、交換を検討するとよいでしょう。

3-1| 【重要】製造から30年経過している場合には、早急に交換を

製造から30年以上経過しているキュービクルをお使いの場合には、早急に交換してください。なぜなら、「PCB特措法」という法律により、2027年3月末までに処分(廃棄)を行わなければいけない製品とされている可能性が高いためです。

PCB措置法の「PCB」とは、「ポリ塩化ビフェニル」という化学物質のことで、その安定性と化学的耐久性から、かつては産業用として広く使用されていました。しかし、PCBの影響で健康被害が引き起こされたことを受け、毒性が問題視され、日本では1972年に製造が禁止されました。

PCB特措法は、PCB廃棄物の確実な処理を推進するための法律で、2027年3月末までにPCBを含む製品の処分(廃棄)を完了することを義務付けています。

なお、PCBの含有量によって高濃度PCBと低濃度PCBに分かれます。高濃度PCBの処分期限は過ぎているため、国内に残っているのは低濃度PCBである可能性が高いです。低濃度とはいえ、人体に害がありますので、安易に近づかないようにしてください。

キュービクルの製造が禁止された1972年以降に製造されたキュービクルには、PCBが含まれている可能性が高いです。日本電気工業会は、1991年以降は出荷段階でPCB混入はないと判断しました。しかし、一部メーカーからはそれ以降に製造・出荷されたキュービクルからもPCBが含有していた事例が報告されています。そのため、1990年代前半までに製造されたキュービクルにも、PCBが含まれている可能性があります

古いキュービクルをお使いの場合には速やかに処分し、新しいキュービクルを導入してください。お使いのキュービクルにPCBが含まれているかわからない場合には、安全のためにも電気業者に相談しましょう。

4| キュービクルを長く使い続けるためには、何をしたらよい?

キュービクルを長く使い続けるためには、何をしたらよい?

キュービクルは、数百万円から数千万円もする高額な設備のため、「いかに長く使い続けるか」は企業経営にも大いに影響するでしょう。そこで、ここでは「キュービクルを長く使い続けるためにはどうしたらよいのか」キュービクル長寿命化のためのポイントについて、ご紹介します。

キュービクル長寿命化のためのポイントは、以下の4つです。

  • 適切な環境を整える
  • こまめに清掃する
  • 部品交換を適宜行う
  • 法定点検を確実に実施する


キュービクルの外側や周辺環境の整備に関しては、ご自身でご対応いただいて問題ありません。キュービクル内部に向けた対策については、感電や停電事故を避けるため、専門業者しか対応できません。

4つのポイントそれぞれについて、見ていきましょう。

4-1| 適切な環境を整える

先ほどご紹介した通り、キュービクルをどれだけの期間使い続けられるかは、設置環境によって大きく変わります。すなわち、キュービクルにとって適切な環境を整えることで、長寿命化を図れるのです。

具体的には、以下のような対策を実施するとよいでしょう。

  • 可能であれば、屋外から屋内へと移設する
  • 屋内への移設が難しい場合、塗装の補修や表面の防サビ処理を行う
  • 海沿いの地域で屋外設置している場合、塩害対策フィルターの設置や耐塩塗装・重耐塩塗装などの塩害対策を行う
  • 屋内に設置している場合、温度・湿度を管理し、高温多湿とならないようにする
  • 小動物が侵入する可能性がある場合、「侵入防止網を設置して、基礎部分の隙間を塞ぐ」「パテなどで、配管やケーブルの隙間を埋める」「換気口にネットを張る」などの対策をする


屋外に設置していると、どうしても風雨や塩害、紫外線などの影響を受けやすいため、可能であれば屋内に移設するのが望ましいです。「屋内への移設が可能か」「移設費用はどのくらいかかるか」などを、業者に一度相談してみるとよいでしょう。建物の構造・立地や移設費用などの面から国内への移設が難しい場合には、塗装の補修や表面の防サビ処理といった対策を実施することが重要です。

また、屋内設置の場合でも、高温多湿には注意する必要があります。キュービクルに限ったことではありませんが、電気設備を高温多湿の環境下に置くと、部品の腐食や性能劣化、故障などのリスクが高まるためです。エアコンや換気設備などを用いて、キュービクル周辺の温度・湿度を適切に保ちましょう。

4-2| こまめに清掃する

ホコリや汚れは、サビ・腐食の原因となるため、キュービクルを長く使い続けるためにはこまめな清掃も欠かせません。定期的に掃除することで、絶縁性能の低下が防げます。キュービクルやその周辺にホコリや汚れをためたままにしないようにしましょう。

ただし、キュービクル内部の清掃には感電のリスクがあります。自分で対応しようとせず、業者に掃除を依頼しましょう。

なお、清掃時にキュービクルの扉や外箱の破損に気づいたら、すぐに補修する必要があります。破損箇所を放置すると、そこから小動物が侵入する可能性があるためです。

4-3| 内部の機器・部品交換を適宜行う

キュービクルは、本体一式の交換だけでなく、内部の機器・部品のみの交換も可能です。消耗・劣化が進んだ機器・部品を交換することは、キュービクルの長寿命化につながるので、適宜行うようにしましょう。

なお、長年使用しているキュービクルですと、劣化・故障した機器や部品の代替品がすぐには見つからないこともあります。そのような場合、キュービクルの故障時に復旧まで長い時間が必要となってしまうことが懸念されます。こうした事態を防ぐためにも、キュービクル内部の機器・部品の交換を後回しにしてはいけません。

4-4| 法定点検を確実に実施する

詳しくはこのあとご紹介しますが、キュービクルは電気事業法に基づく法定点検が義務付けられています。

キュービクルは電気設備であるため、長く使い続けていれば、故障のリスクは高まります。法令点検を確実にしていれば、機器の劣化といった不具合を早期に発見でき、結果的にキュービクルの寿命を延ばすことができます。

5| キュービクルを点検する重要性

キュービクルを点検する重要性

キュービクル点検の重要性は、長寿命化だけにとどまりません。さまざまなリスクを回避して経営の安定を図る、いわば「安心経営の保険」としての役割を果たすという意味でも、とても重要です。

キュービクル点検により、回避できるリスク

  • 突発的な停電による営業中断
  • 感電事故による人身被害
  • 機器の故障による食材廃棄
  • 最悪の場合、火災発生

 

企業経営に影響を与えうるリスクを回避するためにも、キュービクルの点検を確実に行いましょう。

5-1| 法定点検の概要

電気事業法により、キュービクルは「月次点検」「年次点検」の実施が義務付けられています。概要は、以下の通りです。

法定点検の種類 実施頻度 点検内容
月次点検 毎月1回(隔月1回も可能)
  • 外観目視
  • 漏電測定
  • ブレーカー温度測定
  • 負荷電流の測定
  • 非常用発電機の起動確認
年次点検 年1回以上
  • 絶縁抵抗の測定
  • 配線や接続部の異常確認
  • 蓄電池の電圧・比重・温度測定
  • 遮断器や継電器の動作試験

月次点検は短時間で済むため、オフィスや工場、ビルなどの営業・稼働時間中でも実施できます。一方、年次点検は停電を伴うため、営業・稼働時間外(夜間や休日など)に実施する形となります。

なお、法律上は、自社で「電気主任技術者(国家資格で、電気設備の定期点検や竣工検査、故障対応を行う専門家)」を雇用して点検を行うことが基本とされています。しかし雇用できない場合は、外部の専門業者(電気主任技術者が所属し、会社として電気設備保安業務登録を済ませている業者)に委託することが可能です。

6| 法定点検のため、電気の専門業者と契約しておくことをおすすめ

法定点検のため、電気の専門業者と契約しておくことをおすすめ

「電気主任技術者」が社内にいない場合には、外部の専門業者に法定点検を依頼するのが一般的です。社内に有資格者がいたとしても、「通常業務で忙しそうなので、点検を頼みにくい」「社内の有資格者だけで、すべての営業所・工場のキュービクルを点検してもらうのは難しい」といったケースもあるでしょう。

こうした理由から、法定点検に先だち、外部の専門業者と契約を結んでおくことをおすすめします。なお、法定点検を行えるのは、電気主任技術者が所属し、会社として電気設備保安業務登録を済ませている業者に限られます。

キュービクルの法定点検を業者に委託することで、以下のようなメリットが期待できます。

キュービクルの法定点検を業者に委託するメリット

  • 法令の遵守:電気事業法で定められた点検を適切に実施できる
  • スケジュール管理の容易化:法定点検のスケジュールを管理しやすくなる
  • 手間の最小化:報告書の確認や修理依頼をまとめて任せられる
  • 安全性の向上:異常があれば迅速に是正することで、トラブルを未然に防止できる


こうしたメリットがあるため、経営者や従業員は日常業務に注力しやすくなるでしょう。

6-1| 業者選びのポイント

業者選びの際は、まず複数の業者に見積りを依頼し、料金を比較します。ただし、キュービクルはとても重要な設備であるため、料金だけを基準に業者を選ぶのは望ましくありません。料金以外に、以下のような点についても確認しましょう。

 業者選びのポイント

  • 過去の点検実績
  • 利用者からの評判
  • 検査後の報告書やアフターフォロー体制
  • 緊急時対応の迅速さ


これらを総合的に判断し、信頼できる業者に委託することが重要です。

7| キュービクルの耐用年数を理解し、定期的に点検・メンテナンスをしよう

キュービクルの耐用年数を理解し、定期的に点検・メンテナンスをしよう

キュービクル本体の法定耐用年数は15年、実用耐用年数は20年程度です。実用耐用年数や専門業者による点検結果を踏まえた上で、現在お使いのキュービクルをいつまで使い続けるか考えるとよいでしょう。キュービクルの長寿命化のためには、「適切な環境を整える」「法定点検を確実に実施する」といったポイントを押さえることが重要です。

電気事業法により、キュービクルは「月次点検」「年次点検」の実施が義務付けられています。法定点検を業者に委託することによりさまざまなメリットが期待できるため、点検に先立ち、是正工事も併せてお願いすることができる業者と、契約を結んでおくのがおすすめです。

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トータルソリューション株式会社では、キュービクルの法定点検やメンテナンス是正工事を行っております。全国対応も可能ですので、キュービクルの耐用年数が迫っている場合やできるだけ長く使い続けたい場合には、ぜひ一度ご相談ください。

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