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キュービクルには設置基準がある!設置に必要な手続き・届け出も解説

公開日:2025年11月29日

キュービクルには設置基準がある!設置に必要な手続き・届け出も解説

工場やビルなどに設置する「キュービクル」には、設置基準があります。

キュービクルとは、電力会社から供給される高圧電力(6,600V)を受電し、建物内で使用できる電圧(100V・200V)に変換し、配電するための電気設備のことです。キュービクルを設置する際、どのような基準を満たす必要があるのでしょうか。

今回は、屋内・屋外に設置する際のキュービクルの設置基準や設置環境別に必要な対策を解説します。設置する際の手続き・届け出などもご紹介していますので、ぜひご一読ください。

飛べるもくじ

1| キュービクルの設置基準は、設置場所で異なる

キュービクルの設置基準は、設置場所で異なる

キュービクルは、設置場所が「屋内」なのか「屋外」なのかによって、具体的な設置基準が異なります

なお、屋内・屋外ともに「離隔距離」が主な設置基準となっています。離隔距離とは、安全な操作・点検を行えるよう、キュービクルと他の建造物・設備の間に空けておく必要がある距離のことです。

ここでは、離隔距離をメインに、屋内・屋外でキュービクルを設置する際の設置基準をご紹介します。

1-1| 屋内に設置する場合の基準

屋内に設置する場合の離隔距離は、以下の通りです。

離隔距離が必要な面 離隔距離
点検をおこなう面 0.6m(60cm)以上
操作をおこなう面

扉幅+保安上有効な距離以上

※扉幅:1m未満の場合、1mとする
※保安上有効な距離:人の移動・作業に支障をきたさない距離のこと

なお、換気口を有しない面については、離隔距離が規定されていません。

また、離隔距離の他に、以下のような基準も満たす必要があります。

  • 火災が発生しにくい場所に設置する:燃えやすいものが周囲にない場所や、不燃素材の床・壁・柱で区画された場所に設置する
  • 危険性の低い場所に設置する:可燃性・腐食性の蒸気やガス、粉塵などが発生・滞留する可能性のない場所に設置する
  • 避難経路をしっかり確保する:避難の妨げにならない場所に設置する


基本的に、不燃素材で区画された専用室を設け、そこにキュービクルを設置する形となります。万が一火災が発生したとしても、他の部屋に延焼しないようにするためです。

 

1-1-1| 認定キュービクルであれば、専用室が不要になることがある

認定キュービクルとは、一般社団法人日本電気協会による厳正な審査に合格したものです。通常のキュービクルはJIS規格に適合したものですが、認定キュービクルはそれよりも厳格な基準をクリアしています。

認定キュービクルは通常のキュービクルよりも火災のリスクが低いと見なされることから、専用室が不要になることがあります。認定キュービクルの屋内設置は、キュービクル専用室への設置と同等の対策を行っているものとして扱われるためです。

1-2| 屋外に設置する場合の基準

屋外に設置する場合の離隔距離は、「3m以上」です。十分なスペースを確保できる場所に設置する必要があります。

また、離隔距離以外に満たすべき設置基準としては、以下のようなものがあります。

  • 屋外仕様のキュービクルを設置する:防水・防塵性能がある、屋外仕様のキュービクルを設置する(屋内仕様のキュービクルを屋外に設置してはいけない)
  • 基礎を十分に強化し、キュービクルを固定する:地震や強風などによる倒壊防止のため、コンクリートやH鋼で基礎を十分に強化し、キュービクルをしっかり固定する

 

1-2-1| 認定キュービクルであれば、設置基準が緩和される

認定キュービクルを設置する場合には、屋外設置の際の離隔距離が「1m以上」に緩和されます。火災のリスクが低いと見なされるためです。

2| 【設置環境別一覧】キュービクル設置時に必要な対策

【設置環境別一覧】キュービクル設置時に必要な対策

キュービクルの設置環境によっては、先ほどご紹介した設置基準を満たすだけでなく、環境に応じた対策を実施する必要もあります。

設置環境別に必要な対策を表にまとめましたので、ご確認ください。

設置環境 対策
キュービクルに底板がない場合 底面からの風雨侵入防止にため、底面に鋼板などをつける
キュービクル下部(ゲタ基礎内側)に雨水が溜まる恐れがある場合 雨水が溜まらないよう、排水口を設ける
雨・雪が吹き込む恐れがある場合

結露防止のため、以下のような対策を講じる

・天井材に断熱材を充填する
・盤内にスペースヒーターを設置する

海沿いの地域に設置する場合

塩害防止のため、いずれかの対策を講じる

【対策】
・可能であれば、屋内に設置する
・屋内設置が難しい場合、塩害対策フィルターの設置や耐塩塗装・重耐塩塗装などの塩害対策をした上で、屋外に設置する

小動物の侵入の恐れがある場合

小動物の侵入防止のため、以下のような対策を講じる

【対策】
・侵入防止網を設置して、基礎部分の隙間を塞ぐ
・パテなどで、配管やケーブルの隙間を埋める
・換気口にネットを張る

3| 【最新情報】2026年4月からキュービクルの変圧器が新基準になる!

【最新情報】2026年4月からキュービクルの変圧器が新基準になる!

これからキュービクルを設置しようと考えている皆さんに、ぜひ知っておいていただきたいのが、2026年4月からの変圧器(トランス)の新基準適用という動きです。

変圧器は、全てのキュービクルに搭載されています。6,600Vの高圧電力を100V・200Vに変圧する役割を担っている、とても重要な電気機器です。

2026年4月から、変圧器の省エネ性能に関する新基準が適用開始となります。新基準適用開始後は現行基準適合モデルを製造・販売できないため、既にほぼ全てのメーカーが現行基準適合モデルの製造を終了しました。そのため、今後新たに設置できるキュービクルは、新基準適合モデルの変圧器を搭載したもののみです。

変圧器の新基準適用開始により、さまざまな影響が出ると考えられます。中でも、キュービクルの設置基準と関わることとして懸念されるのが、キュービクル設置場所の限定化です。新基準の変圧器は、現行基準のものよりもサイズが大きくなると見込まれています。そのため、大きめのキュービクルでないと新基準の変圧器を格納できません。キュービクルが大きくなればなるほど、離隔距離の確保が難しくなり、キュービクルを設置可能な場所が限定されてしまう可能性があります。

4| キュービクルを設置する際に必要な手続き・届け出

キュービクルを設置する際に必要な手続き・届け出

キュービクルを設置する際には、さまざまな手続き・届け出が必要です。必ず行うものと場合によって行うものとがありますので、抜け漏れがないように注意しましょう。

4-1| 【必須】保安規程の制定と届け出

電気事業法に基づき、「保安規程」を制定する必要があります。

保安規程とは、キュービクルを安全に管理していくための方法・体制などを定めたものです。規程には、保安に関する業務の運営管理体制や従業員への保安教育、保安管理業務の細則・基準、災害対策などを明記します。

保安規程を制定したら、「保安規程届出書」という書面に添えて、国(各地域の産業保安監督部)への届け出が必要です。キュービクルの使用開始前までに受理されている必要がありますので、スケジュールに余裕をもって対応を進めてください。

4-2| 【必須】電気主任技術者の選任と届け出

電気事業法に基づき、「電気主任技術者」を選任する必要があります。電気主任技術者とは、電気設備の定期点検、竣工検査、および故障対応を行う国家資格者です。

社内に電気主任技術者がいる場合といない場合に分けて、必要な届け出をご紹介します。

4-2-1| 社内に電気主任技術者がいる場合

電気主任技術者が在籍している場合、1つの事業所専任にするケースと複数の事業所兼任にするケースとがあります。どちらのケースに該当するかで、国(各地域の産業保安監督部)に届け出が必要な書面が異なります。

届け出が必要な書面

  • 1つの事業所専任にするケース:「主任技術者選任又は解任届出書」
  • 複数の事業所兼任にするケース:「主任技術者兼任承認申請書」


なお、複数の事業所兼任とするケースでは、国(各地域の産業保安監督部)の承認を得る必要があります。承認を得るまでは兼任が認められませんので、ご注意ください。

4-2-2| 社内に電気主任技術者がいない場合

電気主任技術者が在籍していない場合、外部委託が可能です。外部委託の依頼先は、「電気管理技術者(電気設備の保安業務を専門に行っている個人事業者)」または「電気保安法人(電気設備の保安業務を行っている法人)」に限られます。

外部委託とする場合には、「保安管理業務外部委託承認申請書」を国(各地域の産業保安監督部)に届け出て、承認を得る必要があります。

4-3| 【必須】電気設備設置の届け出と消防署による検査

消防署への電気設備設置の届け出が必要です。

電気設備設置の届け出は、設置の7日前までに行うこととなっています。そのため、設置工事に先立ち、届け出る必要があります。

設置後には、消防署の検査を受けます。検査に合格すれば、キュービクルの使用を開始できます。

4-4| 【必須】電力会社への届け出と審査

電気事業法に基づき、電力会社への届け出と審査が必須です。

電気供給に際して、電力会社は供給先の電気設備が各種法令や基準に適合しているかを審査しますが、キュービクルも審査対象となっています。審査に通らないと、電気を供給してもらえず、キュービクルを使用できません。電力会社への届け出を怠らないようにしましょう。

なお、電力会社によって、具体的な手続きや必要書類が異なります。契約している電力会社に、必ず事前に確認してください。

4-5| 【非常電源とする場合】非常電源専用受電設備としての届け出

非常電源とは、停電時において消防設備などに電力を供給し続けるための装置のことです。

非常電源には、非常電源専用受電設備、蓄電池設備、自家発電設備、燃料電池設備がありますが、キュービクルを非常電源専用受電設備とすることができます。その場合、消防法に基づき、消防署への届け出が必要です。

なお、任意ですが、日本電気協会の認定を受けることができます。認定されたキュービクルは、消防署への手続きが簡素化されることがあります。

4-6| 【建物の建築確認をする場合】建築確認時の消防同意

建物の新築とキュービクルの設置を同時に行う際は、建築確認の対象かどうかを確認しましょう。一定規模以上の建物を新築する場合、建築基準法に基づく建築確認が必要となるためです。

建築基準法には、キュービクルに関する規定そのものはありません。しかし、キュービクルを設置する建物が建築確認の対象である場合には、消防署による審査を受け、消防同意(防火面の確認)を得る必要があります。なお、消防署による審査では、離隔距離などが審査基準となっています。

4-7| 【自治体による】条例に基づく申請

自治体によっては、ご紹介した手続き・届け出に加え、自治体独自の届け出・許可も必要としているところがあります。キュービクルの設置に先立ち、自治体の建築課や地域の専門業者などに、何か追加で必要な手続きなどがないかを確認しましょう。

5| キュービクルを設置する際のポイント

キュービクルを設置する際のポイント

キュービクルを設置する際に押さえておきたいポイントは、「拡張も見据え、十分なスペースを確保する」「屋内設置の場合、搬入ルートも考えておく」の2点です。

5-1| 拡張も見据え、十分なスペースを確保する

キュービクルは、将来的に拡張が必要になることも珍しくありません。事業所の増築や事業の拡大などにより、事業所内で必要とされる電力量が増える可能性があるためです。また、先ほどご紹介した変圧器のように、キュービクル内部の電気機器が基準・規格変更により大きくなり、キュービクルの拡張を余儀なくされることも将来的には考えられます。

いずれ必要となるであろう拡張を見据え、十分なスペースを確保しておきましょう。

5-2| 屋内設置の場合、搬入ルートも考えておく

屋外設置でしたら搬入ルートの確保は容易ですが、屋内設置の場合にはそうはいきません。あらかじめ搬入ルートをしっかり考えておかないと、キュービクルを事業所内に運び入れるのに時間がかかってしまいます。想像したくはありませんが、購入したキュービクルを設置できないという事態も考えられます。

こうしたリスク回避のため、屋内設置の場合には搬入ルートを入念に検討しましょう。

6| 専門業者にキュービクルを設置してもらおう

専門業者にキュービクルを設置してもらおう

キュービクルの設置工事ができるのは、有資格者(第一種電気工事士)のみです。

社内に有資格者がいない場合、有資格者が所属する専門業者への依頼が必要となります。

社内に有資格者がいる場合にはその方に任せることもできますが、経験豊富な専門業者に工事を依頼した方が、安全かつ確実に工事してもらえるでしょう。そのため、専門業者に工事を依頼することをおすすめします。

業者を選ぶ際のポイントをご紹介しますので、ぜひ参考にしてください。

6-1| キュービクル設置業者の選び方

業者選びの際は、まずは複数の業者から相見積もりをとります。その上で、営業担当とのやりとりや業者のホームページなどから、以下のようなことを確認しましょう。

  • 工事料金がどのくらいかかるか
  • 十分な実績があるか
  • 依頼した企業からの評判がよいか
  • 法定点検にも対応しているか
  • アフターサービスがしっかりしているか
  • 営業担当の受け答えに問題がないか など


これらの観点で総合的に比較検討し、経験豊富な信頼できる業者を選ぶことが大切です。

7| キュービクルの設置基準を理解し、適切に設置しよう

キュービクルの耐用年数を理解し、定期的に点検・メンテナンスをしよう

キュービクルの主な設置基準は、離隔距離です。屋内設置と屋外設置で確保すべき離隔距離が異なりますので、正しく理解した上で設置しましょう。設置環境に応じた対策も、講じる必要があります。

また、キュービクルを設置する際には、さまざま手続き・届け出が必要です。キュービクルを安全に使うための重要な手続き・届け出ですので、抜け漏れなく対応しましょう。

キュービクルを設置できるのは、第一種電気工事士のみです。社内に有資格者がいない場合はもちろん、いる場合にも、安全かつ確実な工事のために専門業者への工事依頼をおすすめします。

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