
非常用発電機の耐用年数。修理/買い替えの見極めや長く使い続けている場合にすべきこと
公開日:2026年06月30日

停電時に必要な電力を供給する自家発電設備である「非常用発電機」の耐用年数は、その意味合いによって「15年」「20年」「30年」に分けられますが、実質的には20年前後です。ただし、設置環境の良し悪し、エンジンオイルなどの交換の有無や頻度、負荷運転の頻度・質によって、実際の寿命は左右されます。
本記事では、非常用発電機の耐用年数や、修理か買い替えかの見極め方などをご紹介します。非常用発電機を長く使い続けている方に向けて、意識的に実施していただきたいことについてもご紹介していますので、ぜひご一読ください。
- 非常用発電機の実質的な耐用年数について知りたい施設管理者
- 「非常用発電機の寿命は何によって左右されるのか」を理解したい施設管理者
- 非常用発電機を修理すべきか、買い替えるべきかを見極めたい施設管理者
- 「非常用発電機を長く使い続けている場合に何をすべきなのか」を知りたい施設管理者
- 業者選びのポイントなどを把握したい施設管理者
1| 非常用発電機の耐用年数は『15年・20年・30年』どれが正解?

「非常用発電機の耐用年数」で検索すると「15年」「20年」「30年」という3つの年数が出てくるため、「どれが正解なのだろう?」と思った方も多いでしょう。結論から申し上げますと、どれも正解ですが、実質的に安全を担保できる年数(寿命)の目安は20年前後といわれています。
3つとも正解な理由は、「耐用年数」には3つの意味合いがあるためです。
| 意味合い | 耐用年数 | |
|---|---|---|
| 法定耐用年数 | 会計処理で減価償却が認められている期間 | 15年 |
| 国土交通省官庁営繕基準における耐用年数 | 国土交通省が管理する官公庁施設の設備などについて、修繕・メンテナンスを怠らなければ「どのくらいの期間使い続けられるか」を定めた技術的基準における耐用年数 | 30年 |
| 実質的な耐用年数(寿命) | 非常用発電機の更新目安として業界で一般的となっている、実質的な耐用年数 | 20年前後 |
法定耐用年数の「15年」はあくまで減価償却のために設定されているものですので、この期間を過ぎたらただちに使えなくなるというわけではありません。
国土交通省官庁営繕基準における耐用年数は「30年」ですが、実際には30年未満で使えなくなるケースも少なくないといわれています。
この2つの耐用年数の中間くらいにあるのが、実質的な耐用年数である「20年前後」です。実際、設置してからこのくらいの年数が経ったタイミングで、買い替えをしている企業・店舗が多いといわれています。
1-1| 【重要】常用発電機と比べると見えてくる、非常用発電機の「メンテナンスの盲点」
「非常用発電機の寿命は20年前後」とお伝えしましたが、ここで、日常的に使われる「常用発電機」と比べてみましょう。比較することで、非常用発電機ならではのメンテナンスの盲点が見えてきます。
「常用発電機」とは、工場や電源がない地域などにおける日常的な電力供給を目的とした自家用発電設備です。常用発電機の寿命は10年~15年程度で、非常用発電機よりも短めとなっています。毎日長時間稼働させることから、どうしても内部機器の劣化が進みやすいためです。
しかし、常用発電機は常日頃から使用している設備のため、点検・メンテナンス頻度が高く、不具合・故障に早く気付けます。
一方、非常用発電機は、基本的に停電時にのみ使用します。停電は日常的に発生するものではないため、どうしても常用発電機と比べると点検・メンテナンスの優先度が低くなりがちです。後回しにされた結果、不具合・故障の発覚が遅れることがあります。
とはいえ、「非常用発電機が停電時に稼働しなかった」という最悪の事態になってしまっては、設置した意味がありません。「停電はいつか必ず発生する」と肝に銘じて、点検・メンテナンスを怠らないことが重要です。
2| 非常用発電機の寿命を左右する3つの要素

非常用発電機の主な故障原因は、冷却水やエンジンオイル、バッテリーの劣化です。これらをどれだけ防げるかによって、非常用発電機をどのくらいの期間使い続けられるかが決まってきます。
なお、非常用発電機の寿命は、以下の3つの要素に左右されます。
- 設置環境の良し悪し
- 冷却水やエンジンオイル、バッテリーの交換有無・頻度
- 負荷運転の頻度・質
ここでは、この3つの要素について、解説いたします。
2-1| 設置環境の良し悪し
非常用発電機の寿命は、設置環境が良ければ長く、悪ければ短くなります。
| 設置環境の例 | 良い/悪い理由 | |
|---|---|---|
| 良い環境 | ・室温が低い場所や、直射日光が当たらない場所 ・湿度が低く、乾燥した場所 |
・低温低湿な環境では、部品の腐食や劣化が進みにくいため |
| 悪い環境 | ・室温が高い場所や、直射日光が当たる場所 ・湿度が高く、じめっとした場所 ・粉じんが多い場所 ・沿岸部 ・寒冷地 |
・高温多湿な環境では、部品の腐食や劣化が進みやすいため ・粉じんが多い場所では、エアフィルターが目詰まりしやすいため ・潮風に含まれる塩分により、部品の腐食が進むため ・寒冷地では、冷却水が凍結することがあるため |
お使いの非常用発電機の設置環境が「悪い環境」に該当する場合には、設置場所の変更(非常用発電機の移設)や塩害対策などを検討することをおすすめします。
2-2| 冷却水やエンジンオイル、バッテリーの交換有無・頻度
非常用発電機の寿命は、冷却水やエンジンオイル、バッテリーの交換の有無や頻度によっても、変わってきます。交換を全くしていない、または適切な頻度で交換していないと、劣化が進んで非常用発電機の故障に直結するためです。
| 適切な交換頻度 | 適切な頻度で交換しないとどうなる? | |
|---|---|---|
| 冷却水 | 年に1回 | 機器内部の腐食などによって冷却効果が下がり、エンジンがオーバーヒートする危険がある |
| エンジンオイル | 2年に1回 | 空気に触れることで酸化が進み、エンジンの焼き付きを誘発する危険がある |
| バッテリー | 5年~7年に1回 | スマホなどのバッテリーと同様に数年経つと寿命を迎えるが、そうなると非常用発電機を起動できない |
バッテリーについては、使用頻度や設置環境によって変わってくるため、あくまで目安です。
「冷却水やエンジンオイルをもう何年も交換していない」「設置から10年近く経つが、同じバッテリーをずっと使っている」といった場合には、速やかに交換してください。
2-3| 負荷運転の頻度・質
負荷運転の頻度・質も、非常用発電機の寿命を左右します。
負荷をかけずに稼働させる「無負荷運転」を続けると重大事態につながるため、特に注意が必要です。
無負荷運転は、わかりやすく言うと、車のアイドリングと同じ状態です。アイドリングをすると車のエンジン内部に未燃焼燃料(カーボン)が蓄積されますが、非常用発電機の無負荷運転でも同じ現象が起こります。そうすると、いざ非常用発電機を起動させた際に「馬力が十分に出ない」「突然、動かなくなってしまう」といった事態を引き起こす可能性が高いです。
こうした事態を回避し、非常用発電機を長く使い続けるためには、定格容量の30%以上の負荷で規定時間を連続運転する「負荷運転」を定期的に行う必要があります。負荷運転によってエンジン内部をクリーンに保つことで、いざというときに最大限の出力を発揮できるようになるのです。
なお、法定点検では、「負荷試験(定格出力の30%以上での負荷で運転し、実際の動作環境に近い環境下における運転性能を確認する試験)」が実施されます。実施頻度は基本的に1年に一回ですが、条件を満たせば6年に一度の実施で済みます。詳しくは「4-2| 定期的に法定点検をする」でご紹介しますので、そちらをご確認ください。
3| 【修理/買い替え】非常用発電機の故障時にどちらが適している?

非常用発電機が故障した際には、「修理」または「買い替え」が必要になります。修理と買い替えのどちらが適しているのかは、ケースバイケースです。
実際、その場面になると、どちらにすべきか判断に迷うことが多いでしょう。そのため、当サイトを運営するトータルソリューション株式会社では、お客様の独断で決めるのではなく、専門業者に相談してから決めることを推奨しています。
ここでは、「修理がおすすめなケース」と「買い替えがおすすめなケース」をご紹介しますので、業者に相談する際の予備知識としてご活用ください。
3-1| 修理がおすすめなケース
以下のようなケースでは、修理がおすすめです。
修理がおすすめなケース
- 目安として、設置から15年未満の場合
- メーカーの部品供給期間内である場合
- 今回が初めての故障である場合
- 消耗品や特定の部品の劣化が故障原因となっている場合
- 修理費用が数十万円程度に収まる見込みの場合 など
このように、「部品が手に入る」「さほど難しい修理が必要ない」というケースであれば、修理で事足りるでしょう。
なお、現在お使いの非常用発電機について、メーカーが製造を終了してから10年以内であれば、部品供給期間内である可能性が高いです。
3-2| 買い替えがおすすめなケース
以下のようなケースでは、買い替えを推奨します。
買い替えがおすすめなケース
- 目安として、設置から15年以上経過している場合
- メーカーの部品供給期間が終了している場合
- これまでに何度も修理している場合
- 複数の部品の劣化が故障原因となっている場合
- 修理費用が数百万円単位になる見込みの場合
- 買い替えを検討すべきサイン(後述)が出ているとき など
このように、「部品がそもそも手に入らない」「まもなくまたは既に寿命を迎える可能性がある」というケースでは、買い替えが最善策といえるでしょう。修理したくても修理できない、修理したところでまたすぐに壊れるといった可能性が高いためです。
3-2-1| 買い替えを検討すべきサイン
以下のいずれかのサインが出ている場合には、なるべく早急に買い替えを検討することを推奨します。
買い替えを検討すべきサイン
- 何度もバッテリー交換をしており、交換サイクルが短くなっている
- これまでよりも、オイルや冷却水の消耗が激しくなってきている
- 負荷試験で規定出力を出せなくなった
4| 非常用発電機を長く使い続けている場合にすべきこと

さまざまな理由から、非常用発電機を長く使い続けている企業も多いことでしょう。「常日頃使っているわけではないし、問題ないだろう」とお考えの方もいるかと思います。
しかし、非常用発電機は電気設備ですので、長年使い続けていればいつ壊れてもおかしくありません。可能な限り寿命を伸ばすためには、以下の4つを意識的に実施すべきです。
長く使い続けている場合にすべきこと
- 日常的にセルフチェックする
- 定期的に法定点検をする
- 設置環境を整える
- 冷却水やエンジンオイル、バッテリーなどを交換する
一つ一つ、ご紹介します。
4-1| 日常的にセルフチェックする
明日からでも行ってほしいのが、日常的なセルフチェックです。五感でわかるような異変がないかを日常的に確認しましょう。
セルフチェック項目の例
- 燃料が漏れていないか
- 操作盤の異常警報ランプが点灯していないか
- 非常用発電機の外装に顕著なサビがないか
- いつもはしないような異常な音・臭いがしていないか など
何かしらの異変に気付いた際は、そのまま放置せず、速やかに専門業者に相談しましょう。
4-2| 定期的に法定点検をする
セルフチェックに加え、プロによる定期的な法定点検も不可欠です。
非常用発電機の法定点検は、主に「消防法」「建築基準法」「電気事業法」の3つの法律に基づく点検・報告が義務付けられています。いずれも、有資格者しか点検が認められていないため、有資格者の在籍する専門業者に点検を依頼しましょう。
法令点検のうち、実施頻度について特に注意が必要なのが、消防法に基づく法定点検です。「負荷試験」「内部観察」「予防的保全策」の3つがあります。
| 概要 | |
|---|---|
| 負荷試験 | 火災や地震といった災害時などの不測の事態に備え、非常用発電機を定格出力の30%以上で運転し、実際の動作環境に近い環境下における運転性能を確認する試験 |
| 内部観察 | 非常用発電機を分解した上で、非常用発電機のエンジン内部を目視または内視鏡などを用いて確認・観察する点検作業 |
| 予防的保全策 | 非常用発電機の機能を維持し、運転性能を確認するための点検作業や部品交換などの保全作業 |
なお、負荷試験には、非常用発電機とつながっている機器を実際に稼働させて負荷をかける「実負荷試験」と、専用の模擬負荷試験装置をつなげて負荷をかける「模擬負荷試験」があります。どちらを選択しても構いませんが、実負荷試験では一時的に停電させる必要があることから、停電させる必要がない模擬負荷試験を実施するのが主流です。
負荷試験または内部観察は、「年1回」の実施が原則となっていますが、予防的保全策を講じていれば「6年に一度」で構いません。ただし、その場合でも予防的保全策は毎年講じる必要があります。
なお、負荷試験、内部観察、予防的保全策はいずれも「点検」ではあることには違いありません。「毎年何かしらの法定点検が必要」だと認識しましょう。

法定点検の詳細については下記の記事でご紹介していますので、ぜひご一読ください。
4-3| 設置環境を整える
非常用発電機の劣化を遅らせるためには、設置環境を整えることが不可欠です。具体的には、以下のような対策の中から実情に即したものを選んで実施することをおすすめします。
| 対策の例 | |
|---|---|
| 今すぐにでもすべきこと | ・非常用発電機周辺にある不要な資材などを撤去する ・吸気口に詰まっている落ち葉やゴミなどを取り除く ・エアフィルターが目詰まりしていたら、洗浄する など |
| 中長期的に計画すべきこと | ・地下室など湿気がこもりやすい場所に設置している場合、業務用除湿器や除湿型サーキュレーターを設置・常時稼働する ・水害の恐れがある地域の場合、コンクリート基礎のかさ上げや止水板の設置などをする ・低温低湿の場所に非常用発電機を移設する など |
今すぐにでもできることは、「吸排気効率の向上」や「ネズミなどの小動物の侵入防止」を主な目的としています。
中長期的に計画すべきことに関しては、どれもそれなりに費用がかかりますので、十分に検討した上で実施することをおすすめします。
4-4| 冷却水やエンジンオイル、バッテリーなどを交換する
非常用発電機は日常的に使うものではないため、「稼働時間が短いから、部品は劣化しないのでは」とお考えの方もいらっしゃるかと思います。しかしながら、冷却水やエンジンオイル、バッテリーなどは確実に経年劣化します。
そのため、先ほど「2-2| 冷却水やエンジンオイル、バッテリーの交換有無・頻度」でご紹介したように、適切な頻度で交換することがとても重要です。そうすることで、非常用発電機の寿命を延ばせるでしょう。
5| 非常用発電機の点検・メンテナンスは、専門業者に依頼を!

非常用発電機の点検・メンテナンスは、専門業者(電気工事会社など)に依頼することを推奨します。非常用発電機はとても重要な電気設備であり、適切に維持・管理するためにはプロの知識・経験が不可欠なためです。
ここでは、業者に依頼するメリットや業者選びのポイントをご紹介します。
5-1| 業者に依頼するメリット
業者に依頼することで、以下のようなメリットが期待できます。
業者依頼のメリット
- 【法令遵守】最新の法改正に則って点検してもらえるため、法律違反となるリスクがない
- 【BCPの実効性確保】非常用発電機を適切に維持・管理でき、停電時におけるBCPの実効性を確保できる
- 【重大な故障の未然防止】重大な故障につながる不具合を早い段階で発見でき、部品の交換・修理といった対策を講じることができる
- 【コスト削減】業者依頼のコストはかかるものの、不具合・故障の早期発見が可能なため、修理コストが最低限で済む など
一方、業者に依頼せずに自分たちだけでやってしまうとこうしたメリットを享受できません。それだけでなく、「点検の不備に気付けない」「停電して初めて、故障していることが発覚する」「重大な故障になるまで気付かず、膨大な修理コストがかかる」などのリスクも考えられます。
こうしたリスクを回避するためにも、業者依頼が得策です。
5-2| 業者を選ぶ際のポイント
業者ごとに特徴や強みなどが異なるため、最初から「この業者、一択」と決めるのではなく、複数の業者を比較検討した上で選ぶことが重要です。
比較検討する際は、以下のポイントをホームページや電話・メールでの問い合わせ、見積書などでしっかり確認するようにしましょう。
業者選びのポイント
- 有資格者が在籍しているか
- 実績が十分にあるか
- 利用した企業からの評判が良いか
- 組織全体として安全意識が高いか
- 具体的にどのような電気工事に対応しているか
- 夜間・休日も受付対応しているか
- 見積内容に透明性があり、金額が適正か
- 担当者の説明・対応に満足できたか
非常用発電機の点検業者を決める上で特に注意すべきなのが、「有資格者の在籍」についてです。「消防法」「建築基準法」「電気事業法」のどの法律に基づく点検なのかによって必要な資格が異なるため、「どの法律に基づく点検ができる有資格者が在籍しているのか」を確認してください。「A社は●●法のみ、B社は▲▲法のみ、C社は3つ全て」といったように情報を整理しておくと、比較検討しやすいでしょう。
それぞれのポイントについて詳しく知りたい方は、下記の記事をご一読ください。
6| 非常用発電機の修理/買い替えは、専門業者に見極めてもらおう!

非常用発電機の実質的な耐用年数(寿命)は、20年前後です。ただし、実際に何年使えるかは、「設置環境の良し悪し」「冷却水やエンジンオイル、バッテリーの交換の有無や頻度」「負荷運転の頻度・質」によって変わってきます。
故障時に修理すべきか買い替えるべきかの判断基準は、「設置してからの年数」「部品調達の可否」「故障原因」などです。とはいえ、ご自身では、判断に迷うケースも多いのではないでしょうか。非常用発電機はとても重要な電気設備ですので、修理か買い替えかの見極めは専門業者に任せましょう。
また、非常用発電機を長く使い続けている場合には、「日常的なセルフチェック」や「定期的な法定点検」の実施に加え、「設置環境の整備」「冷却水やエンジンオイル、バッテリーなどの交換」も不可欠です。
非常用発電機の点検・修理・買い替えは、トータルソリューション株式会社にご相談ください!経験豊富なプロが対応いたします。
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