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建物の用途変更に伴う手続き。建築基準法や消防法に則った対応を解説

公開日:2026年07月29日

建物の用途変更に伴う手続き。建築基準法や消防法に則った対応を解説

用途変更とは、建物の使用目的を別のものに変更することですが、建築基準法や消防法に基づく手続き・届出が必要になるケースがあります。建築基準法と消防法では対応が必要となるケースが異なるため、どういった場合にどのような対応をすべきなのかを正しく理解することがとても重要です。

この記事では建物の用途変更に伴う対応を「建築基準法に基づくもの」と「消防法に基づくもの」に分けて、解説します。手続きの流れや注意点も紹介していますので、ぜひご一読ください。

この記事は、次のような経営者やバックオフィス担当者におすすめです!
  • 建物の用途変更に関連する法律や罰則について把握したい方
  • 建築基準法や消防法に基づく手続きが必要なケースを理解したい方
  • 2つの法律に基づく対応を別々に進めてもよいのかが気になる方
  • 建築基準法に基づく確認申請手続きの概要を知りたい方
  • 消防法に基づく届出や対応の概要を理解したい方

1| 用途変更とは、建物の使用目的を別の用途に変更すること

用途変更とは、建物の使用目的を別の用途に変更すること

用途変更とは、既存の建物の使用目的(用途)を別のものに変更することです。既存の建物を有効活用でき、工事費用も新築・増築に比べると安いケースが多いことから、用途変更をする建物が急増しています。

用途変更のよくある例

  • 住宅(空き家)を、民泊施設へ
  • 住宅(古民家)を、古民家カフェへ
  • コンビニエンスストアを、学習塾へ
  • 事務所を、レストランへ
  • 事務所を、デイサービス施設へ
  • オフィスビルを、マンションへ
  • 倉庫を、アパレルショップへ など

1-1| 用途変更と関係する「建築基準法」と「消防法」

用途変更と関係する法律は、「建築基準法」と「消防法」です。

法律の名称 どのような法律か 用途変更と関係する理由
建築基準法 国民の生命や健康、財産の保護などを目的に、建築物の敷地や構造、設備、用途に関する基準を定めた法律 用途変更に伴って、避難経路や建物に求められる環境(採光・換気など)などが変わるため

※建物の用途によって、避難経路や耐荷重、窓の採光面積などの安全基準が異なる

消防法 火災予防や国民の生命・身体・財産の火災からの保護、火災被害の軽減などを目的に、消防用設備の設置・維持や建築物の防災対策などに関する基準を定めた法律 用途変更に伴って、火災の発生リスクが変わるため

※建物の用途によって、消防用設備の設置基準が異なる

1-2| 必要な手続き・対応をしないとどうなる?

詳細については後ほどご紹介しますが、用途変更に伴い、建築基準法や消防法に基づく以下のような対応が必要になることがあります。

法律 用途変更に伴う対応 対応の概要
建築基準法 確認申請 建物が建築基準法に適合しているかを自治体が確認する「確認申請」を、工事着工前に済ませておく必要がある
消防法 消防署への届出 防火対象物使用開始届などの各種届出を、決められた期限内に行う必要がある
消防用設備の見直し 建物の用途に応じて消防用設備の設置基準が決められているため、消防用設備の新設や増設が必要になる

こうした対応をせずに用途変更してしまうと、行政指導や行政命令を受けます。それでも改善が見られない場合には法律違反と見なされ、罰則として罰金や懲役が科される可能性があります。

罰則以上に深刻なのが、万が一、火災が発生した際の影響です。「必要な手続き・届出がなされていない建物=自治体や消防署が防災面での安全性を担保できていない建物」ともいえるため、安全性が低い可能性があることが容易に想像できます。避難経路の確保状況や消防用設備の設置状況に問題があることに気付かないままだと、火災発生時に初期消火の失敗や避難の遅れを招きかねず、最悪の場合には死傷者が出る可能性があります。建物をきちんと管理できていないことが原因で火災被害が拡大した場合、巨額の損害賠償を求められるケースも珍しくありません。この他、火災保険が不支給になる可能性も考えられます。

2| 建築基準法と消防法では、手続きが必要となるケースが異なる

建築基準法と消防法では、手続きが必要となるケースが異なる

建築基準法と消防法では、手続きが必要となるケースが異なります。混同しないよう、しっかりと理解しましょう。

2-1| 建築基準法に基づく確認申請が必要なケース

下記のどちらにも該当する場合、建築基準法に基づく確認申請が必要です。

建築確認が必要なケース

  • 建築基準法上の「特殊建築物」への変更
  • 変更部分の床面積が200平米を超える


特殊建築物とは、不特定多数の人が利用する建物や火災の危険性が高い建物
のことです。防火や避難などに関して、特殊建築物には一般の建築物よりも厳しい制限・義務が課されます。

具体的には、以下の用途の建物が特殊建築物に該当します。

特殊建築物に該当する建物の用途

  1. 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場
  2. 病院、診療所(患者の収容施設があるものに限る)、ホテル、下宿、共同住宅、寄宿舎、児童福祉施設など
  3. 学校、体育館、博物館、美術館、図書館、ボーリング場、スキー場、スケート場、水泳場、スポーツ練習場
  4. 百貨店、マーケット、展示場、キャバレー、カフェ、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合、料理店、飲食店、物品販売業を営む店舗
  5. 倉庫
  6. 自動車車庫、自動車修理工場、映画スタジオ、テレビスタジオ


たとえば、事務所を飲食店に用途変更し、変更部分の床面積が200平米を超える場合には、確認申請が必要です。

2-1-1| 確認申請が不要なケースもある

確認申請が不要になるケースもありますので、覚えておきましょう。

確認申請が不要なケース

  • 特殊建築物以外への用途変更
  • 特殊建築物であっても、類似用途間の変更


「特殊建築物以外への用途変更」についてですが、たとえば住宅を事務所に変更する場合には、事務所は特殊建築物ではないので確認申請が不要です。

「類似用途間の変更」については、下記11の用途間での変更(同じ数字で書かれた別の用途への変更)であれば、変更部分の床面積にかかわらず確認申請が必要ありません

類似用途間の変更

  1. 劇場、映画館、演芸場
  2. 公会堂、集会場
  3. 診療所(患者の収容施設があるものに限る)、児童福祉施設など
  4. ホテル、旅館
  5. 下宿、寄宿舎
  6. 博物館、美術館、図書館
  7. 体育館、ボーリング場、スケート場、水泳場、スキー場、ゴルフ練習場、バッティング練習場
  8. 百貨店、マーケット、物品販売業を営む店舗
  9. キャバレー、カフェ、ナイトクラブ、バー
  10. 待合、料理店
  11. 映画スタジオ、テレビスタジオ


たとえば、「歌舞伎場をミニシアターに」「有床のクリニックを保育園に」「カフェをバーに」といった場合には、確認申請が不要です。

2-1-2| 【まとめ】確認申請が必要/不要なケース

ご紹介した内容を整理すると、確認申請の要否は以下のチャートで確認できます。「確認申請が必要かどうか」を判断する際にご活用ください。

2-2| 消防法に基づく届出・対応が必要なケース

変更後の用途が消防法上の「防火対象物」に該当する場合、消防法に基づき、消防署への届出が必要となります

防火対象物とは、消防法における火災予防の対象となっている、火災リスクがある建物などのことです。「特定防火対象物」と「非特定防火対象物」に分類され、具体的には以下のようなものがあります。

分類 定義 具体例
特定防火対象物 ・不特定多数の方が利用する事業所
・利用者はある程度固定されているものの、自力で避難が難しい方(傷病者、高齢者、乳幼児など)が主に利用する事業所
・劇場、映画館
・カラオケボックス
・飲食店
・百貨店、スーパーマーケット、物品販売店
・旅館、ホテル
・病院、診療所
・老人ホーム、デイサービス
・幼稚園、保育園
・これらの事業所が入居する建物
非特定防火対象物 ・利用者がある程度固定されている事業所(特定防火対象物に該当する建物は除く) ・マンションなどの共同住宅・マンションなどの共同住宅
・学校
・博物館、美術館
・工場、作業所
・事務所
・倉庫
・これらの事業所だけが入居する建物

防火対象物は、その用途ごとに設置すべき消防用設備が細かく定められています。そのため、建物の用途変更に伴い、消防用設備の見直し(不足している設備の新設・増設)が必要になることがあります

2-2-1| 用途変更の際は、ほとんどの建物で消防法に基づく対応が必要!

建築基準法には「200平米以下」や「類似用途」であれば確認申請が不要という緩和措置がありますが、消防法にはそれがありません。そのため、「建築基準法に基づく対応は必要ないけれど、消防法に基づく対応は必要」となるケースは多いです。

また、変更後の用途が「防火対象物」に該当すると消防法に基づく届出が必要ですが、防火対象物の表を見ても明らかなようにほとんどの建物が防火対象物に該当します。なお、防火対象物以外の建物の代表例は一般住宅ですが、「一般住宅を飲食店などに用途変更する」ケースは多いものの、その逆のケースはそう多くはありません。

これらを踏まえると、建物の用途変更をする際は「消防法に基づく何らかの対応が必要になる可能性が高い」と認識しておいた方がよいでしょう。

3| 【重要】建築基準法と消防法に基づく対応は「同時進行」が定石!

【重要】建築基準法と消防法に基づく対応は「同時進行」が定石!

「建築基準法と消防法では、手続きが必要なケースや対応内容などが違うから別々に進めても問題ないだろう」と思った方もいるかもしれません。しかし、建築基準法と消防法は密接に関連しており、手続きは同時進行が定石です。

ここでは、2つの法律に基づく対応を「別々」に進めるリスクと、対応をスムーズに進めるための「相談のタイミング」について、ご紹介します。

3-1| 2つの法律に基づく対応を「別々」に進めるリスク

2つの法律に基づく対応を別々に進めることは、「一方の法律に基づく対応を優先して、もう一方の法律に基づく対応を後回しにする」ことを意味します。建築基準法と消防法では管轄や目的、基準などが異なるため、別々に進めると設計の大きな「手戻り」などが発生するリスクがあります。

具体的には、以下のような事態が想定されます。

後回しにしてしまう法律 後回しにした場合に想定される事態の例
建築基準法 ・用途変更の計画の白紙撤回:変更後の用途について建築基準法で定められている基準を満たしていないと、用途変更自体が不可能となるため
・確認申請が下りないことによる着工不可:確認申請が必要なケースにおいて建築基準法の基準を満たしていないと、確認申請が下りず、着工が認められない
・違法建築物になることにペナルティ:建築基準法を満たしていないと違法建築物と見なされ、建物の使用禁止命令や罰則(懲役や罰金)の対象となる可能性がある
消防法 ・想定外な設備費用の追加:自動火災報知設備やスプリンクラー、誘導灯などの新設・増設の必要性に後から気付くため、設備費用が想定外にかかる
・天井や壁の一部を壊しての配線・配管工事の発生:消防用設備の新設・増設のために、天井や壁の一部を壊して、配線・配管工事をすることになる
・施設や店舗のオープン日の延期:想定外の工事が発生することになる結果、当初予定していた施設・店舗のオープン日に間に合わなくなる

こうした深刻な事態を回避するため、建築基準法と消防法に基づく対応は必ず「同時進行」で進めてください。

3-2| 対応をスムーズに進めるための「相談のタイミング」

2つの法律に基づく対応を円滑に進めるために、用途変更の計画の極めて早い段階から、それぞれの専門家に相談することを推奨します。建築基準法を熟知している「建築士」や「建築事務所」と、消防法に詳しい「消防用設備の専門業者」に同タイミングで相談しましょう。

なお、建築士・建築事務所や消防用設備の専門業者には、依頼先の専門業者名または建築士・建築事務所の名前、連絡先、担当者などを必ず伝えてください。建築士・建築事務所と消防用設備の専門業者が互いに情報共有し、法的な整合性を確認し合えるため、手戻りなく円滑に計画を進められます。

4| 【建築基準法】建物の用途変更に伴う確認申請手続き

【建築基準法】建物の用途変更に伴う確認申請手続き

用途変更に際して、建築基準法に基づき必要な確認申請の手続きの流れなどについて、ご紹介します。

4-1| 手続きの流れ

確認申請の手続きの流れを簡単にまとめました。

ステップ 手続き 概要
1 事前準備 ・変更後の用途や工事内容、必要な設備などを考える
・建築事務所や建築士に以下の対応を依頼する【建築事務所や建築士に依頼すべきこと】
・用途変更に伴い、建築基準法や関連法令のどういった基準を満たす必要があるのかの調査
・用途変更に関する計画書類や仕様書、工法についての認定書、設計図などの作成
2 「建築確認申請書」の作成・提出 ・「建築確認申請書」を作成し、自治体の建築主事または民間の指定確認検査機関に提出する
3 審査~「確認済証」の交付 ・審査に通ると、「確認済証」が交付される
4 工事の実施 ・「確認済証」が届いたら、工事(改修工事や内装工事など)に着手できる
5 「工事完了届」の提出 ・工事完了から4日以内に、自治体の建築主事に工事完了届を提出する
6 「検査済証」の交付~使用開始 ・建築基準法への適合が確認できたら、建築主事から「検査済証」が交付され、用途変更後の建物の使用を開始できるようになる

4-2| 注意すべきこと

建築基準法の観点から用途変更の際に注意すべきことは、以下の通りです。

注意すべきこと 理由
【用途地域との適合】
変更後の建物の用途が、そのエリアで許可(指定)されている用途に該当しているか?
※都市計画や環境保護のために、エリアごとに用途が制限されている地域を「用途地域」と言う。
・エリアごとにあらかじめ「建てていい用途」と「建てることができない用途」がルールとして定められており、そのエリアの基準に適合しない用途への変更は認められないため。

【例】
・低層住居専用地域には、カラオケボックスやパチンコ屋などはNG
・工業地域には、教育機関(幼稚園、小中学校、高校、大学、専門学校など)はNG

【検査済証の有無】
用途変更前の建物の検査済証が手元にあるかどうか?
・検査済証を未取得の場合、用途変更前の建物の安全性を証明する別の調査が必要となり、通常よりも確認申請手続きが完了するまでの期間が長くなるため
【既存遡及(きぞんそきゅう)】
用途変更前の建物が「既存不適格」であり、「既存遡及」が必要か?
・用途変更前の建物が「既存不適格(建築時には適法だったが、その後の法改正などにより現行法に対して不適格な部分が生じた建物)」だった場合、用途変更の際に現行法への適合(既存遡及)を求められるケースがあり、工期の延長や工事費用の増額が予想されるため
【荷重】
用途変更に伴う間取り変更(壁の追加など)や設備導入などにより、荷重が建築基準法に適合しない状態とならないか?
・用途変更に伴い、荷重が建築基準法に適合しなくなると、「建築基準法違反」となってしまうため

参考:東京都 都市整備局「用途地域による建築物の用途制限の概要

5| 【消防法】建物の用途変更に伴う届出・対応

【消防法】建物の用途変更に伴う届け出・対応

用途変更に際して、消防法に基づき必要な届出・対応などについて、ご紹介します。

5-1| 消防署への届出

原則として、「防火対象物変更届出書」という書類の届出が必要です。また、「防火対象物工事等計画届出書」や「消防用設備等設置届出書」の届出が必要になることもあります。

届出 概要 提出期限
防火対象物工事等計画届出書 防火対象物の工事(改修工事や内装工事など)を行う際に必要な届出

※工事を伴う場合のみ、届出が必要

工事開始の7日前まで
防火対象物変更届出書 建物を用途変更することを消防署に知らせるための届出

※工事の有無にかかわらず、用途変更する場合には原則として届出が必要

変更後の用途での使用開始の7日前まで
消防用設備等設置届出書 消防用設備を新設・改修したことを消防署に伝えるための届出

※消防用設備を見直した場合のみ、届出が必要

消防用設備の新設・改修完了後、4日以内

この他、用途変更に伴って厨房設備やボイラーなど火を使う設備を新設する場合には、設置の概ね7日前までに「火を使用する設備等の設置届」の届出も必要です。

5-2| 消防用設備の見直し

消防法では、防火対象物を用途によって区分し、その区分ごとに「▲▲の設置が必須」「300平米以上の場合、■■の設置が必要」といった設置基準を定めています。建物の用途やその建物を主に利用される方によって、火災発生リスクや避難の難しさなどに差があるためです。

実際のところ、用途変更により防火対象物の区分が変わり、消防用設備の見直しが必要になるケースはとても多くあります。加えて、用途変更に伴い、建物の間取りを変更(大きな部屋が1つだったものを、小さな部屋複数に変更など)した場合にも、消防用設備の見直しが必要になることが想定されます。

具体的にどのような見直しが必要になるのか、記事の冒頭で紹介した用途変更のよくある例をモデルケースとして紹介しますので、参考にしてください。※あくまで一例のため、実際にはこれ以上の見直しが必要になることもあります。

用途変更のよくある例 変更前の区分 変更後の区分 消防用設備の見直しの例
住宅(空き家)⇒民泊施設
※民泊施設は、家主不在型と仮定
対象外 5項イ ・原則として、自動火災報知設備や誘導灯の設置が必要
・延べ面積によっては、消火器などの設置も必要
住宅(古民家)⇒古民家カフェ 対象外 3項ロ ・原則として、誘導灯の設置が必要
・延べ面積や収容人数によっては、消火器や避難設備などの設置も必要
コンビニエンスストア⇒学習塾 4項 7項 ・火災感知器の大幅な増設が必要になることがとても多い
※自習室などの小部屋を設けるケースが多く、火災感知器を増設しないと「未警戒区域(火災を感知できないエリア)」が生じるため
事務所⇒レストラン 15項 3項ロ ・原則として、誘導灯の設置が必要
・不特定多数の人が利用するレストラン(3項ロ)の方が事務所(15項)よりも消防用設備の設置基準が厳しく、延べ面積によっては、消火器や屋内消火栓設備、自動火災報知設備などの新設・増設が必要になる
事務所⇒デイサービス施設 15項 6項ハ ・原則として、誘導灯の設置が必要
・就寝を伴う場合には、延べ面積を問わず、自動火災報知設備が必要
・デイサービス施設(6項ハ)の利用者は自力避難が困難な方が多いため、事務所(15項)よりも消防用設備の設置基準が厳しく、延べ面積によっては消火器や自動火災報知設備、スプリンクラーなどの新設・増設が必要になる
オフィスビル⇒マンション
※オフィスビルは、飲食店や店舗を伴わないものと仮定
15項 5項ロ ・原則として、全戸への火災感知器の設置と、共用部(廊下や階段など)への自動火災報知設備の設置が必要
・マンション(5項ロ)は「隣室の様子を感じ取りにくい」「夜間は就寝する」といった理由から火災発生に気付きにくい可能性が高いため、消防用設備の設置基準が厳しく、延べ面積によっては消火器や避難設備などの増設が必要になる
倉庫⇒アパレルショップ 14項 4項 ・原則として、誘導灯の設置が必要
・不特定多数の人が利用するアパレルショップ(4項)の方が倉庫(14項)よりも消防用設備の設置基準が厳しく、延べ面積によっては、消火器や自動火災報知設備、スプリンクラーなどの新設・増設が必要になる

参考:総務省消防庁「防火対象物の用途区分表(消防法施行令別表第一)」「主な消防用設備等の設置基準

5-3| 注意すべきこと

消防法の観点から、用途変更やそれに関連して注意すべきことを紹介します。

注意すべきこと 理由
【特定防火対象物への用途変更】
特に、「非特定防火対象物」から「特定防火対象物」への用途変更の場合、消防用設備の見直しに抜け漏れがないか?
・利用者がある程度固定される「非特定防火対象物」から、不特定多数の人や迅速な避難が困難な人が利用する「特定防火対象物」へと用途変更する場合、消防用設備の設置基準がとても厳しくなり、消防用設備の大幅な見直しが必要になることが多いため
【複合ビルなどのテナントの用途変更】
複合ビルなどのテナントが「非特定防火対象物」から「特定防火対象物」に用途変更した場合、建物全体として消防用設備の見直しをしているか?
・複合ビルなどの場合、どこか一つのテナントが「特定防火対象物」になっただけで建物全体も「特定防火対象物」と見なされ、建物全体で消防用設備の大幅な見直しが必要になるため
【間取り変更に伴う未警戒区域の発生】
用途変更とあわせて間取りを変更した場合、未警戒区域が発生していないか?
・大きな部屋をいくつかの小部屋に分けるといった間取り変更もしている場合、火災感知器が火災を感知できない「未警戒区域」が生じることがあるため
※未警戒区域が発生した場合、火災感知器を増設し、未警戒区域を無くす必要がある
【消防設備点検の報告頻度】
「非特定防火対象物」から「特定防火対象物」への変更に伴い、消防設備点検の報告頻度も変わることを認識しているか?
・消防設備点検の報告頻度について、「非特定防火対象物」では「3年に1回」のところ、「特定防火対象物」では「1年に1回」と定められているため

いずれも、実際に見落としやすい内容ですので、用途変更の際には十分にご注意ください。

6| 建物の用途変更をするときは、建築基準法・消防法に基づき必要な対応をしよう!

建物の用途変更をするときは、建築基準法・消防法に基づき必要な対応をしよう!

建物の用途変更に際しては、建築基準法では対応不要でも、消防法では対応が必要になるケースも多く、その判断や設備設置は非常に専門的です。

消防用設備の設置基準は複雑なため、「どこに何を何個設置するか」は専門業者に判断してもらうのが賢明です。「消防法違反」や「火災発生時の被害増大」などのリスク回避のためにも、業者に相談してください。

なお、用途変更をスムーズかつ確実に進める秘訣は、計画の「ごく早い段階」から建築基準法や消防法に精通した専門家(建築士や建築事務所、消防用設備の専門業者)に介入してもらうことです。それぞれの法律における要件を整理して互いにすり合わせた上で、同時進行で計画を進めることができ、手戻りリスクを最小限に抑えられます。

また、消防用設備の設置・取り付けでは、消防設備士や電気工事士しか対応できない作業が多くあります。設置後も、消防設備士または消防設備点検有資格者による点検が必要なケースが多いです。設置・修理・点検の全てに対応可能な業者を選ぶとよいでしょう。

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